民泊事件で使われた、出会い系アプリ「Tinder」の実態:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
兵庫県三田市の女性(27)を殺害したとして、米国籍のヴァシリエヴィチ容疑者が逮捕された。容疑者と被害者が知り合ったのは「Tinder(ティンダー)」というアプリだったそうだが、こうした出会い系アプリを使うことでどんな事件が起きているのか。海外に目を向けると……。
「恥」ではすまされない危険なリスク
で、その結果だが、この男性は「日本人女性は白人好き」という言説が事実ではないことを思い知らされたという。イケメン友人の1人はあまりに口説けないのでストレスがたまって予定よりも早く日本を発ったとも書いている。さらに、なんなら日本だけでなく、「白人ならアジアで女性に出会うのは簡単という話は、完全に嘘っぱちだ」とも指摘している。友人たちにもそれは同じだったという。
その理由として「言葉の壁がある」「さまざまな異性関係などの文化的違い(付き合い方やデート方法など)」があり、さらにアジア人女性は「清潔で丁寧」で「性に対する興味を出さないこと」が美徳だとする。また「非常にシャイ」であると書く。
それでも、ヴァシリエヴィチ容疑者のケースでは、4〜5人の女性を民泊に連れ込んだという。これまでの話をまとめると、容疑者はきっと、何日もティンダーでひたすら出会いを探したのだろうと考えることもできる。何度も過去に日本に来ていたことから、おそらく来日前からかなりの時間と労力をかけて、女性と会うところまでこぎつけていたのかもしれない。
今回、欧米人男性から見た日本人女性に対するイメージについての記事をいくつも読んだ。そんな中で、日本では女性が出会い系アプリなどのサービスを使うことは「恥」と受け止める文化があるとの指摘があった。欧米はそうでもない、と。そんな違いがあるらしい。
ただ世界のどこでも共通しているのは、こうした出会いには「恥」ではすまされない危険なリスクが潜んでいるということだろう。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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