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ウーバーの無店舗型飲食店支援が持つ破壊力“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

配車サービス大手のウーバーが、無店舗型飲食店の支援に乗り出す。既に飲食店の宅配サービス支援「ウーバーイーツ」を提供しているが、今後は店舗を持たない飲食店の増加が予想されることから、その事業を支援することで供給力を高めたい考えだ。

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宅配市場の中では容易にシェアの下克上が発生する

 もしネットの宅配サービスを活用した無店舗型飲食店が増えた場合、外食産業のビジネスモデルそのものに大きな影響を及ぼすだろう。

 これまで外食産業の経営は立地が重要であった。来客数の見込める場所に出店できるかが勝負であり、そのためには大きな経営体力が必要であった。大手外食チェーン店が、さらに業績を拡大できるのはこうした理由からである。仮に既存の外食チェーンよりもおいしい店が登場しても、既存の店舗網を崩すまでにシェアを拡大するのは容易なことではない。

 ところが、宅配前提の無店舗型飲食店は、店舗網に縛られる必要がないので、零細企業でも参入できる。しかもウーバーのような仲介企業が、インフラ面での支援を行うことになれば、個人事業主が多数、参入してくるだろう。

 ネット宅配サービスの中での人気は、ユーザーによるレビューなどで決まってくるので、必ずしも知名度だけが売上高を左右するわけではない。ネット宅配の中に限っては、シェアの下克上が発生する可能性が出てくるのだ。

 もちろん大手には、キャンペーンなどを多用し、資本力で押し切るやり方が残されているが、相対的に不利な立場に置かれるのは間違いない。ネット宅配サービスの普及は、従来型外食産業の終わりの始まりとなるかもしれない。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


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