セブン‐イレブンが募集する「年収711万円のお仕事」:固定給とボーナスを支給
セブン‐イレブン・ジャパンが年収711万円である業務を担う人材を募集している。日本に住む20歳以上の健康的な人ならば基本的に誰でも応募できる。週に1回、あることをするのが日常業務というが、どんな内容なのだろうか。
セブン‐イレブンのスイーツを、週1回SNSに投稿してくれれば年間711万円の報酬を支払います――。セブン‐イレブン・ジャパンはこんな求人をしている。
正式名称は「ドリームセブンスイーツアンバサダー」。対象商品や訴求したい内容について月2回テーマが与えられるが、それ以外は自由に投稿できる。商品のイベントや告知活動に協力することもある。活動期間は2018年7月11日から1年間。報酬は月60万円。最終日に51万円のボーナスが支給される。
応募資格は「18年7月1日時点で満20歳以上であること」「健康に問題がないこと」「アレルギーがないこと」などだ。応募するには専用サイトで「セブンスイーツアンバサダー」として登録する必要がある。複数選考を経て6月下旬に正式決定する。
積極的にファンを育成する
今回のキャンペーンは「アンバサダー・マーケティング」と呼ばれるマーケティング手法の一環だ。「アンバサダー」とは自社商品に愛着を持ち、その良さを積極的に周囲に勧める顧客を意味する。主に熱狂的なファンが該当する。似たような手法に「インフルエンサー・マーケティング」がある。これは、影響力のある芸能人や有名人が商品の告知活動を行うことを指す。
セブン‐イレブンでは17年4月からセブンスイーツアンバサダーの会員を募集している。登録は無料で、現時点での登録者数は約9万人だ。会員特典として割引クーポンや新商品情報を提供する。スイーツについてSNSに投稿するとポイントが付与され、一定以上貯まると商品の無料券を入手できる。
会員限定イベントも実施している。商品開発の担当者と一緒に、発売前の新商品を試食できる。すでに10回以上実施されている。
イベントを行う目的はファン意識を醸成することだけではない。会員限定イベントでは、複数のグループに分かれて「今後発売してほしい商品」などを話し合い、全員の前で発表する。セブン‐イレブン・ジャパンの広報担当者は「会員の声を商品開発に生かす狙いがある」と説明する。一般的な消費者ではなく、熱心なファンの声を集めることができる。
アンバサダーを育成するのは簡単ではない。独自のメルマガを作成したり、イベントを企画・運営したりと手間もかかる。それでもこういった取り組みをセブン‐イレブンが行うのは口コミの重要性が増しているからだ。自社に好意的な口コミを発信してくれる顧客を増やすには、企業側からの地道なアプローチが欠かせなくなっているのだろう。
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