「民泊」解禁目前 “先輩”国で起きているトンデモ事件とは:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
6月の住宅宿泊事業法(民泊法)の施行を目前に控え、民泊に関するニュースをよく聞くようになった。民泊をすでに導入している“先輩”国で起きている出来事とは……
英国で問題「ポップアップ売春宿」
特に最近、民泊をめぐって欧米メディアで話題になっているのは、英国で問題になっている、民泊施設などを使った簡易売春宿だ。出現してはすぐに消えると言う意味で「ポップアップ売春宿」とも呼ばれている。
英国では、セックスワーカーたちが全国を回って、民泊などで商売する行為が行われており、その数が最近急増しているという。1月に発表された英レスター大学の調査では、640人の性労働者と1300人の利用者への聞き取りから、簡易売春宿が増加している実態を指摘している。事実、英国各地で民泊や休暇用の住宅のような短期の宿泊施設を探し、1週間ほどそこで売春行為を行って、気がついたら姿を消しているという。そしてまた別の宿泊場所に移って商売をする。
日本の場合は、こうした性的サービスにラブホテルなどが使われているケースがあり、単純に比較はできないが、英国で問題になっている簡易売春宿では、利用者は目立つ売春宿に入店する必要がなくなり、利用しやすくなるという。また、セックスワーカーたちにしてみれば、自分たちの仲間数人で簡易な売春宿を開き、そうすることで元締めにコミッションを払う必要がなくなるらしい。今の時代、客は個人的にSNSなどで引っ張ることができるからだ。
そうしてあちこちの住宅街にある住居などを売春宿にしてしまう。
住宅地で静かに暮らしたい人たちにはたまったものではない。世界有数の名門大学があることで知られる英国イングランド東部のオックスフォードでは、今、こうしたポップアップ売春宿が増えているとして地元の市会議員らが苦言を呈している。またこうした簡易売春宿が、無理やり女性を働かせる人身売買の温床にもなっていると議員らは指摘する。ちなみにオックスフォードでは住民が、民泊で繰り広げられるパーティーの騒音にも苦しめられているという。
英国の国家犯罪対策庁(NCA)は、「ポップアップ売春宿」が拡大していることを警戒し、さらにSNSなどがその拡大に図らずも協力してしまっている実態があると主張している。
今後日本でも、ラブホテルなどよりも安く済むケースもあるとして、民泊が性的サービスに使われてしまう可能性がないとはいえない。ちなみに17年の報道では、米民泊最大手のAirbnb(エアビーアンドビー)の日本国内の利用者のうち、2割が日本人だったとの数字が出ている。今後、さらに国内の日本人の間でも民泊が広がれば、日本人利用者の数も増えることになるとみられ、また別の、日本独特の問題が生じてくる可能性もありそうだ。
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