すき家がカレー刷新に込めた「本当の狙い」:ごはんも増量
すき家が4月18日から定番の「ポークカレー」を刷新する。スパイシーさをより際立たせ、こはんも15%増量するという。一見すると何の変哲もないリニューアルのようだが、別の狙いもあるという。
すき家は4月10日、定番商品である「ポークカレー」をリニューアルすると発表した。4月18日から提供して、価格は並盛で490円(税込、以下同)。リニューアル前から40円値上げする。
リニューアルのポイントは「スパイシーさを増すこと」と「ごはんを増量すること」の2点だ。クミンなどのスパイスを増やし、ブラックペッパーを加えることでスパイシーさを強調させる。ごはんは15%増量させる。すき家を運営するすき家本部の広報担当者は「カレーを単品で注文するお客さまには、がっつり食べたいというニーズがある。満足度を高めるためにごはんを増量した。今回のリニューアルで、ごはんにからみやすいようにルーをサラッとさせた」と説明する。
これまでは「ミニ」「並盛」「大盛」「メガ」の4種類から選ぶ方式だったが、新たに「1.5盛」を加えた。ごはんの量は並盛と同じだが、ルーを1.5倍にする。
スパイシーな理由は?
牛丼大手チェーン3社はカレーを提供していて、いずれも甘口ではなくスパイスの風味を強く打ち出している。松屋は14種類のスパイスを使用した「オリジナルカレー」、吉野家は15種類のスパイスを使った「黒カレー」をそれぞれ提供している。
すき家が他社と同様に、カレーのスパイシーさをより際立たせるような商品設計をしている理由はどこにあるのだろうか。
まず、すき家におけるカレーの位置付けを確認しよう。カレーはすき家の創業時から提供しているメニューで、「およそ2〜3年に1度、味などを変えている」(広報担当者)という。
すき家の主なメニューカテゴリーは「牛丼」「豚丼」「カレー」「海鮮・丼」「定食」などに分類される。最も売れているのは牛丼だが、それ以外は「ほぼ同じくらい売れている」(広報担当者)。カレーの売り上げは無視できない大きさだ。
すき家の開発担当者によると、スパイスを強く打ち出す方針は以前から存在していたという。特に意識しているのは「香りがよくたつ」こと。「カレー以外のメニューを食べるために来店した際、カレーのにおいを感じてもらうことで、次回の来店につなげる狙いがある」(開発担当者)。
飲食店から漂うカレーの香りに食欲を刺激された経験がある人も多いはず。今回のリニューアルでスパイスを強調する背景には、来店者をさらに増やす狙いもあるのだろう。
一方の松屋は4月3日から期間限定で「ごろごろ煮込みチキンカレー」を発売している。17年も好評だったため、18年も再投入を決めたという。
これから気温が上昇するので、カレーを注文する客は増えるはず。牛丼大手チェーンの“カレー戦争”の行方が注目される。
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