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「価格破壊者」だった大塚家具がニトリに敗れた理由:どこで差がついた?(4/4 ページ)
創業当初の大塚家具が業界の「価格破壊者」だったことをご存じだろうか。その姿はかつてのニトリと重なる。同じようなビジネスモデルから出発したのにどうして両社の業績には差が出たのだろうか。
経常利益率に注目すべき理由
大塚家具は中間工場を通さない直接取引や、計画発注による大量取引で製造原価の低減などに努めている。前述したように、プライベートブランドの開発も積極的に進めている。だが、ニトリとの力量の違いは数字に如実に表れている。
小売業は基本的にモノを仕入れて販売する業態だ。仕入れ値と売価の差額が利益になる。利益率は最も重要な指標となる。
企業の利益には本業のもうけを示す営業利益、営業利益に本業以外の活動で得られる損益を加えた経常利益、経常利益から税金などを差し引いたあとに残る純利益がある。
窪田氏は「小売業の強さを比較するときには売上高経常利益率に注目すべきだ」と指摘する。ニトリホールディングスの18年2月期における連結ベースの売上高経常利益率は16.6%と高水準を維持している。一方、大塚家具の17年12月期における非連結ベースの経常利益は約51億円の赤字なので、売上高経常利益率はマイナス12.5%となる。両社の差は歴然だ。
かつて同じ「安売り」からスタートしたニトリと大塚家具。両社の明暗を分けたのは、時代にあったビジネスモデルを迅速に構築する力量の差にあったと言えそうだ。
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