大企業でできない経験をベンチャーで積む「レンタル移籍」とは?:NTT西日本や日本郵便なども実施(3/3 ページ)
最近話題の「企業間レンタル移籍」をご存じだろうか。大手企業に籍を置いたまま、出向という形で期間を定め、ベンチャー企業で働くというもので、既にいくつかの会社がそうした取り組みをスタートさせているのだ。
個の成長の次に狙うのは、組織の変革
大企業側には、規模としては小さいベンチャーに見習おうとするスタンスがあるのだろうか。原田社長は、「大企業の人材がベンチャー企業に行けば、その違いからたくさんの気付きを得られます。大企業とベンチャー企業、どちらが優れているという話ではなく、双方に良い点と課題がある。その両方を知ることに価値がある」と語る。
実際、レンタル移籍の期間を終えた移籍者たちは、確実にイノベーション人材として成長し、自社に帰っている。ローンディールでは、移籍者に週次、月次で経験したことをレポートとして提出してもらっている。レポートとして言語化することによって学びが明確になり、移籍期間が終了するころには、どの移籍者も成長を実感できるまでになっているという。
ただし、実際には職場環境の違いに戸惑う移籍者も多い。原田社長によれば、「大企業の社員は自分から動くことに慣れていないため、レンタル移籍の開始当初はベンチャーで自分の居場所を見つけることができないことがある」。
大企業ではメインとなる仕組みが整備されており、やるべきことが定型化され、指示されたことをやるというパターンの仕事が多い。それに対してベンチャー企業では、今何をやるべきかを自ら考えて、仕事を作っていくことを求められるのが普通だ。スピードも求められる。そういった働き方に慣れていない移籍者にとっては、ベンチャー企業でキャッチアップすることがストレスになってしまうこともあるという。このため、ローンディールでは、毎月、移籍者へのフォローとして1on1のメンタリングを実施している。
今後、ローンディールでは、このレンタル移籍の仕組みを利用して、組織変革に踏み込んでいく仕組みを構想中とのこと。レンタル移籍の仕組みで、規模の大きさに関係なく、元気な企業がますます日本に増えていくことが期待できそうだ。
(アスクル「みんなの仕事場」運営事務局)
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