顧客の若返りに成功 「和食さと」が好調を維持できるワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
店舗数で和食ファミリーレストラン最大手の「和食さと」。外食産業全体が縮小する中でも成長を続けている。最近ではジュースやお酒が飲み放題のセルフ式ドリンクバーが人気だが、商品開発や仕入れでどのような戦略をとっているのだろうか。
和食ファミリーレストランで最大の200店(18年5月末時点)を展開する「和食さと」。2018年3月期通期では、既存店売上高が前年同期比100.4%と3年連続で前年を上回っており、好調な状態が続いている。
業績が好調な要因の1つは、セルフサービスでお酒を含むドリンクが飲み放題となる、「さとカフェ」と「さとバル」を導入したことだ。
和食さとチェーンを運営するサトフードサービスでは、「『さとカフェ&さとバル』を導入して以来、午後2時〜午後5時くらいまでのアイドルタイムの集客が増えた」(サトフードサービス取締役執行役員副社長・和食さと事業部長の瀬戸口弘一氏)と喜んでいる。
今回は和食さとが和食ファミリーレストラン最大手に成長した要因と、好調を持続させる戦略にスポットを当てる。
顧客層が若者にまで広がった
これまでの洋食ファミリーレストランならば、アイドルタイムであってもカフェ利用をする顧客がいた。和食ファミリーレストランの場合は客数の少ない時間帯となっていたが、それを解消したことで売り上げが増えた。パフェなどのデザートメニューも充実してきており、ドリンクと共に利用する人も多い。
さとカフェはコーヒー、紅茶、コーラ、各種ジュースなど、50種類以上のソフトドリンクが楽しめるドリンクバーで、料金は大人1人238円(税別、以下同)。カフェのみの利用ならば358円。小学生以下が100円となっている。
さとバルは120分飲み放題のセルフ式アルコールバーで、ファミリーレストランチェーンで導入するのは初の試みだ。生ビール、焼酎(麦・芋)、ウイスキー、梅酒などの他、カフェの利用も可能だ。料金は平日(終日)と土曜日の午後3時までが998円(バルのみの利用は1198円)。土曜日の午後3時以降と日曜・祝日・特定日が1198円(バルのみの利用は1398円)となっている。
和食さとは和食の業態ということもあって、顧客の年齢層が高かった。しかし、さとカフェ導入により、高校生が新しく来店するようになったり、さとバル導入によりビジネスパーソンがちょい飲み用途で利用したりする機会も増えた。顧客層が若者にまで広がってきているのだ。
お酒のお供となる一品料理は100円台から30種類ほどあり、天ぷら、刺身、焼きギョーザ、焼鳥など豊富なメニューがそろっている。
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