顧客の若返りに成功 「和食さと」が好調を維持できるワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
店舗数で和食ファミリーレストラン最大手の「和食さと」。外食産業全体が縮小する中でも成長を続けている。最近ではジュースやお酒が飲み放題のセルフ式ドリンクバーが人気だが、商品開発や仕入れでどのような戦略をとっているのだろうか。
出店余地はまだまだある
和食さとの課題としては、18年5月に発表されたSRSHDの新中期経営計画説明資料にある通り、人手不足による人件費増加に対処するためのAIロボット活用が挙げられる。案内受付、注文対応、調理、料理提供、食べ終わったあとの食器の片付けなど、さまざまな分野で今後、ロボットが実験的に導入され、生産性が向上していくだろう。
また、さとカフェに対応した和スイーツの強化、さとバルに対応したちょい飲み用フードメニューの開発など、メニュー面でも改善の余地がある。
立地開発においては、近畿でほぼ飽和状態に達しているものの、現在のところ国内では近畿、中部、関東にしか店舗がない。日本最大の消費マーケットである首都圏には32店舗があるのみなので、膨大な空白地が残っている。集客を考えれば、駅前やショッピングセンターへの出店も増えていく見込みだ。
海外には、台湾、タイ、インドネシアに計7店を出店している。世界的な和食ブームの追い風もあり成長する余地は大きいだろう。
こういった課題をクリアーしていけば、業績を伸ばしていくのにさほどの困難はないと思われ、安定した成長が見込める業態の強さがある。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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