「AIスピーカーに話し掛けるのが恥ずかしい」がもたらす、ちょっとした大問題:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
Google HomeやAmazon EchoといったAIスピーカーの普及が徐々に進んでいるが、思わぬ障壁が顕在化している。それは、恥ずかしくてAIスピーカーに話し掛けられないというものだ。これが後々やっかいな問題を引き起こすかもしれない。
Google HomeやAmazon EchoといったAI(人工知能)スピーカーの普及が徐々に進んでいるが、思わぬ障壁が顕在化している。それは、恥ずかしくてAIスピーカーに話し掛けられないというものだが、どうもこの現象は日本特有らしいのだ。どのインタフェースを好むのかは個人の勝手だが、AIスピーカーの場合、少々やっかいな問題を引き起こす可能性がある。
周囲に人がいなくても操作したくないという人が多い
AIスピーカーは基本的に利用者による発話をトリガーにして動作する仕組みになっている。Google Homeでは「OKグーグル」、Amazon Echoの場合には「アレクサ」と話し掛けると動作がスタートする。Google Homeの日本語版では「OKグーグル」に加えて「ねえグーグル」という言葉にも反応するようになっている。
筆者はGoogle HomeとAmazon Echoの出荷が始まるとすぐに製品を購入し、使い勝手に関するレビューを寄稿した。記事を見たメディア関係者からいくつか取材を受けたのだが、その時すでに「日本人にとっては恥ずかしくて使いづらいのでは?」という質問を受けた。筆者は「慣れてしまえば問題ないのでは?」と軽く受け流していたのだが、声を掛けづらいという感覚は意外と根強いものらしく、今でもこうした声を耳にする機会が少なくない。
音声入力に対して恥ずかしさを感じるのかについては、2017年、KDDIが興味深い調査結果を発表している。それによると、音声操作の機能について「自宅で周囲に人がいても音声操作したい」と考える人は25.2%にとどまっている。周囲にいる「人」というのが、家族なのか他人なのかは大きな違いだが、ともかく自分以外の人がいる中で操作しづらいという感覚はある程度までなら理解できる。
では、周囲に人がいなければよいのかというと、そういうわけでもないのだ。「周囲に人がいないなら操作したい」という人は40.3%にとどまっており、残りの約6割は人がいなくても操作したくないと回答している。
AIスピーカーの普及が先行している米国においても、音声アシスタントを見知らぬ人の前で操作することについて恥ずかしさを感じる人は一定数存在しているようだ。しかし、AIスピーカーがすでに4000万台も普及しているという現実を考えると、1人もしくは家族しかいない状況での音声操作に抵抗感を持つ人が多いとは考えにくい。
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