森永のカフェラテが強敵・スタバの「おかげで」売れた秘密:コーヒーの味わい深い戦略(1/3 ページ)
森永のチルドカップコーヒー「マウントレーニア」はカフェラテ市場を切り開いた商品。当初は伸び悩んだが競合であるスタバが参入したことで市場が活性化してヒットした。
コーヒーのエスプレッソと牛乳を混ぜた飲み物、カフェラテ。喫茶店や街中で、カップに刺したストローから飲む人をよく見る。しかしこの商品、日本で多く出回り始めたのは割と最近のようだ。
「ラテ」で人気のスターバックスコーヒー(スタバ)の1号店が銀座にオープンしたのは1996年。しかし、それより早くカフェラテを日本に持ち込んだ「パイオニア」と、メーカーも自負する商品がある。93年発売の森永乳業のチルドカップコーヒー「マウントレーニア」だ。
カフェラテという「文化」を輸入
同社でマウントレーニアのマーケティングを担当する並木亜希子さんによると、それまで缶コーヒーで一般的だったのはブラックや普通のコーヒーにミルクなどを混ぜたカフェオレ。喫茶店では昔からアメリカン、ウィンナーといった種類のコーヒーが親しまれていた。「しかしカフェラテは当時まだ浸透していなかった。そもそも日本にない文化にうちが挑戦した」(並木さん)。
開発のきっかけは当時、米シアトルに出張した同社の社員。現地で米国人がカップ入りのカフェラテを飲みながら歩いている光景に「これはスタイリッシュだ」と衝撃を受けたという。
「『外で手軽にコーヒーを飲む』というスタイルは当時日本にはなかった。外で歩きながら何か飲むことがお行儀悪いと思われていたらしい。缶コーヒーは売れていたが、どうしても中高年男性向けで“スタイリッシュ”なイメージが無かった」(並木さん)。
並木さんによると、シアトルはスタバ発祥の地でもあるカフェ文化が根付いた街。「シアトルで売っている市販品を持ち込んだというより、現地のカフェスタイルを商品を通して伝えようとした」(並木さん)。「カフェラッテ」の商標も登録し、腰を据えたブランド戦略を打ち出し始めた。
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