ANAで年21万回も「グッドジョブ!」が交わされる理由:3年で5倍に(2/4 ページ)
ANAグループが実施している「Good Jobカード」。長年の取り組みだが、近年急激に利用回数が伸び、2017年には21万回に達した。称賛し合う取り組みがここまで浸透した背景には何があるのだろうか。
「あの時のあの人にありがとう」が可能に
Good Jobカードの使用は徐々に広がり、「褒める文化」を掲げるANAグループの象徴的な取り組みへと成長していった。13年にはグループの行動指針「ANA's Way」をGood Jobカードの内容に反映させ、その浸透ツールにもなっている。さまざまなメディアや書籍でも紹介され、それを目にしたことがある人も多いだろう。
しかし、Good Jobカードの取り組みは、そこからさらに1歩進んだ。14年以降に導入した新しい仕組みをきっかけに、カードの使用が爆発的に増えたのだ。
その一つが、Web版のGood Jobカード「Good Job Box」の設置だ。手で記入しなくてはならない紙だけではなく、Webでもメッセージを送ることができれば、「増えるのは当然だろう」と思うかもしれない。しかし、Webによって可能になったのは手間を省くことだけではなかった。航空会社の現場ならではのメリットがあったという。
空港の現場では、チェックインカウンターや搭乗口などを担当するグランドサービスもあれば、機内サービス、飛行機の整備などの業務もある。働く人たちはANAグループ内の違う会社に在籍しており、お互いに名前も知らないことが少なくない。それでも、助け合ってトラブルに対応したり、声を掛けたりすることは頻繁にある。
紙のGood Jobカードでは、自分が所属する職場以外の人に対してメッセージを贈ることができなかった。そのため、感謝の気持ちを伝えたくても伝えられないケースもあったという。
「Web版では、相手の名前が分からなくてもメッセージを送ることができます」(高野さん)。「あのとき、あの場面で助けてくれた人にお礼が言いたい」と思ったときに、その詳細を書き込める掲示板機能を設けたのだ。相手が見てくれていたり、周囲の人がつないでくれたりすれば、いつか感謝の気持ちが伝わる可能性は高い。
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