ANAで年21万回も「グッドジョブ!」が交わされる理由:3年で5倍に(3/4 ページ)
ANAグループが実施している「Good Jobカード」。長年の取り組みだが、近年急激に利用回数が伸び、2017年には21万回に達した。称賛し合う取り組みがここまで浸透した背景には何があるのだろうか。
本社にも褒める習慣が浸透
Webをきっかけにカードの使用が増えたのは、空港の現場だけではない。本社部門の従業員にとっては、Webの導入によって「Good Jobカードが使いやすくなった」という。
Webの導入前、接客などのサービスを行う現場では、その場で感謝を伝えるカードの浸透は早かった。一方、事務職が多い本社などでは、定着するのに時間がかかっていた。そういった部署は年齢層も比較的高く、「実は、『子どもっぽい』という声もあった」(椿さん)。
そのような人たちにWeb版がなじんだ理由は、シフト勤務でなかなか会えない人や、離れた部署の人にもメッセージを送ることできるようになったからだ。電話やメールで他の拠点とやりとりする業務が多いことから、職場内だけでカードを贈り合う機会は限られていた。他の拠点の人とやりとりをした後に、あらためてお礼を伝えるのは恥ずかしいし、時がたてば忘れてしまう。Webでメッセージを送るだけなら手軽で、メッセージの履歴を見れば、さまざまな立場の人とのつながりを感じることもできる。
「以前はGood Jobカードの必要性を伝えたい、理解してもらいたいと取り組んでいましたが、今はもうその必要はなくなりました」(椿さん)
高野さんは、「Webで送られるメッセージは、全体の7割にまで増えました」と話す。紙のカードも減ったわけではなく、枚数は変わっていないという。これまで形にできなかった感謝や称賛を示せるようになったことで、メッセージを贈る習慣が広がったようだ。
関連記事
- 社内表彰をしても、若手が辞めてしまうのはなぜか
社内表彰などの「褒める制度」を導入している企業はたくさんあるが、それはモチベーションや定着率の向上につながっているだろうか。1000社が導入した「褒め合い」システムを開発した企業に、褒める文化が根付かない理由や称賛の考え方などを聞いた。 - なぜ「ペット同伴OK」のオフィスがうまくいっているのか
「ペット同伴出勤」ができるオフィスを2005年から作ってきたマースジャパンリミテッド。動物が苦手な人もいるオフィスで、どのように制度を運用してきたのか。ペットがいるオフィスを訪ねた。 - 【一問一答】ピーチ・バニラ統合 「生き残り」賭けた3社の思惑とは
ANAホールディングスが傘下のLCCであるPeach・Aviationとバニラ・エアの経営統合を発表。記者会見で3社のトップが語った統合の狙いと背景は。また、統合で実現する「中距離LCC」の構想とは? - 街中で食べることができない、知られざる「JALカレー」の話
空港のラウンジでしか食べることができない「JALカレー」をご存じだろうか。SNSでJALカレーをアップしている写真をよく見かけるが、一体どのような味をしているのか。試食をしながら、JALの担当者に裏話を聞いてきた。 - 社食なのに夜メイン? 発想を変えて理想を実現
「こんな社食があったらいいな」を実現するために、従来の社食のイメージから発想を大きく転換した企業の取り組みとは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.