自分専用スーツの“レンタル”サービス レナウンの「着ルダケ」:スーツにこだわる層を増やしたい(2/3 ページ)
レナウンが「スーツを所有しないで利用する」をコンセプトにした「着ルダケ」のサービスに本腰を入れる。自分専用のスーツを“レンタル”できるのが特徴で、5年間で1万人以上のユーザー獲得を目指している。
サービスのメリットは?
同サービスのメリットは「自分専用のビジネスウェアを、面倒なことを一切気にせずにただ『着るだけ』という点」(カスタマーリレーション&コーポレートコミュニケーション統括部の中川智博統括部長)だ。
このサービスを利用するメリットはいくつかある。まず、ユーザーがシーズン外のスーツを自宅のクローゼットに保管したり、クリーニングしたりする手間から解放される。次に、「体形が変わる」「デザインのトレンドが変わる」「生地が傷む」といった理由で服を買い替えなくて済む。“自分専用”にこだわるのは「他人が着たスーツは着たくない」と考えるユーザーを取り込むためだ。
ターゲットは「スーツに凝りはじめる30〜40代」
レナウンがこのサービスを開始した背景にあるのはビジネススーツ市場の急激な縮小だ。総務省統計局の家計調査によると、1世帯当たりのスーツに対する支出金額や購入頻度は減少傾向にある。スーツにユーザーがお金をかけなくなったからといって、低価格帯のスーツ市場に参入すると競合他社との厳しい消耗戦に陥ってしまう。
そこで、レナウンは「所有」から「利用」へと消費者の価値観が変化していることに目を付けた。スーツを購入するのではなく、利用することの価値をアピールすることにしたのだ。
着ルダケがターゲットとするユーザーは「30〜40代のビジネスパーソンで、会社で責任のある地位についている層」(中川統括部長)だ。20代のユーザーは就職活動で購入したスーツを持っているので買い替え需要が見込めないが、スーツに凝りはじめる30〜40代向けならばチャンスはあると見込んでいる。同社は「1着当たり5〜6万円するクオリティーのスーツだからお得」とアピールするが、仮に最も安いプランを契約した場合でも2年間で十数万円支出することになり、1着当たり約3万円となる。これを高いと考えるか安いと考えるかは判断が分かれるところだが、ある程度経済力があるユーザーでないとこのサービスを利用しないだろう。
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