御用聞きにミニ四駆大会 コジマ復活のカギは“リアルな接点”:商品の体験会も人気(1/2 ページ)
業績不振に陥っていたコジマが復活しようとしている。ミニ四駆大会や商品の体験会を積極的に開催するだけでなく、顧客の御用聞きサービスにも取り組む。拡大するネット通販との差別化は成功するのだろうか。
業績不振からビックカメラ傘下となったコジマが、復活を遂げようとしている。
2017年9月〜18年5月期の単独決算は純利益が前年同期比2.8倍の19億円となった。さらに、17年3月〜18年3月までの月次売上高も、ほとんどの月で前年比を上回っている(POSレジベース)。
業績好調の理由として同社は「スマートフォン、ゲーム機が好調に推移したことに加え、洗濯機、冷蔵庫、エアコンなどが堅調に推移したため」と分析するが、約3年前から本格的に取り組んでいる体験型の展示と御用聞きサービスが顧客に支持されている点も見逃せない。
実演したら高圧洗浄機がバカ売れ
コジマは基本方針として「モノからコト軸への提案」を進め、体験価値を重視した展示や接客を充実させている。
例えば、高圧洗浄機の体験会を開催したり、顧客が電動自転車の性能を体感できるような場を提供したりしている。商品の体験会を開催すると「飛ぶように売れる」(同社広報)という。コジマはロードサイド型の店舗が多く、広い駐車場を生かした体験型イベントを開催しやすい環境にあるのだ。
店頭イベントにも力を入れている。特に近年盛り上がっているのが「ミニ四駆大会」で、全国各地の店舗で開催している。参加費は無料で、18年大会からは従来の中学生以下のジュニアクラスに加え、高校生以上が参加できるオープンクラスを新設した。ミニ四駆コースを常設している店舗もあり、広報担当者は「コジマに来店されるお客さまは親子連れが多いです。現在、ミニ四駆は第3次ブームが到来しており、第2次ブームを経験した父親にも喜ばれています」と説明する。ミニ四駆自体は単価が安く売り上げが大きく伸びる商品ではないが、親子で楽しめるイベントが来店動機につながっている。
関連記事
- ヨドバシの接客力を支える「すごい教育」
社員の接客レベルや商品知識の深さが評判のヨドバシカメラ。高い接客力を支えているのは社内の教育体制にあった。いったい、どんなことをしているのか? - ヤマダ電機とビックカメラ、“経営がうまい”のはどちらか
家電量販店業界の最大手であるヤマダ電機と2位のビックカメラ。実は両社は店舗の立地戦略だけでなく、多角化戦略でも大きく異なる戦略を打ち出している。「経営のうまさ」を示す指標で比較すると驚きの結果が見えてきた。 - 米国は没落したのに日本トイザらスが積極出店に転じた理由
米トイザらスが米国の全店舗を閉鎖したのに日本トイザらスは積極出店に転じる。ネット通販や量販店とどのように差別化をしているのだろうか。 - 「価格破壊者」だった大塚家具がニトリに敗れた理由
創業当初の大塚家具が業界の「価格破壊者」だったことをご存じだろうか。その姿はかつてのニトリと重なる。同じようなビジネスモデルから出発したのにどうして両社の業績には差が出たのだろうか。 - ユニクロのエアリズムにみる「脱・安かろう悪かろう」の研究
かつては「安かろう、悪かろう」のイメージが強かったユニクロだが、今やお手頃な価格で高機能の商品が売れるようになった。ここに至るまでの地道な取り組みを商品開発や宣伝広告の面から検証する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.