御用聞きにミニ四駆大会 コジマ復活のカギは“リアルな接点”:商品の体験会も人気(2/2 ページ)
業績不振に陥っていたコジマが復活しようとしている。ミニ四駆大会や商品の体験会を積極的に開催するだけでなく、顧客の御用聞きサービスにも取り組む。拡大するネット通販との差別化は成功するのだろうか。
社員が御用聞き
もう1つ好調なのが、コジマの社員が顧客の“御用聞き”をするサービスだ。具体的には店舗に「お客様相談カウンター」を設置して顧客が相談しやすい環境をつくったり、「コジマくらし応援便」という商品の設置や配送を行うサービスを強化したりしている。コジマくらし応援便のサービスには「持ち帰り商品の訪問設置」(500円、税抜、以下同)や「電話注文商品の配送」(500円)などがあり、サービスエリアは拡大を続けている。
広報担当者は「当社の社員がお客さまの自宅にうかがい、日常のお困りごとを手助けするなかで、別の商品を購入していただくケースが増えています」と説明する。例えば、「冷蔵庫の調子が悪いから見てほしい」という依頼を受けて家を訪問した際、居間のテレビにヘッドフォンがつないであったとする。コジマの社員がその理由を尋ねると、耳が遠くなった高齢者が利用していることが分かった。そんなとき「ワイヤレスのヘッドフォンが便利ですよ」といったように、新商品を自然に提案できる。
「まちの電気屋さん」が次々と姿を消しているが、高齢者を中心に根強いニーズのある“御用聞き”を徹底して行うことでビジネスチャンスを創出しているのだ。
リアルな接点に商機あり
コジマと似たような体験型のイベントを開催している企業として、日本トイザらスが挙げられる。同社はおもちゃを実際に手に取って遊べるイベントや、人気キャラクターの衣装やアクセサリーを着用できる撮影会を頻繁に開催して、ネット通販や量販店との差別化に取り組んでいる(関連記事:米国は没落したのに日本トイザらスが積極出店に転じた理由)。
ネット通販が普及するにつれてリアルな店舗が苦戦しているが、コジマの例が示すように、体験型イベントや御用聞きといった顧客とのリアルな接点には逆転のヒントが眠っているといえそうだ。
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