サッポロ第三のビール「LEVEL9」、謎のレベル設定で売れた深い訳 :名は体を表す(2/2 ページ)
サッポロビールの高アル系第三のビール「LEVEL9」が好調だ。このジャンルで最高のアルコール度数「9」の数字をプロモーションで強調したほか、ターゲットである中年男性がゲーム世代のためRPGで出てくる「レベル」を商品名に入れた。
ファミコン世代の男性がターゲット
ただ9を推す理由は分かるとして、なぜ「レベル」なのか。齋藤さんによるとこれは、テレビゲームのRPGなどでよくある設定、キャラクターのステータスを表す「レベル」を意味しているのだという。
そもそもLEVEL9のターゲットは30〜40代。齋藤さんによると、高アル系第三のビールは中年男性がメーンユーザー。家庭に帰った男性が缶のお酒をダラダラと時間をかけて何本も飲むより、短時間である程度酔っぱらいたいニーズに応えているのだという。「最近の家庭でお父さんたちは、長時間晩酌することを肩身が狭いと感じているようだ」(齋藤さん)。
そこで商品名を決めるのに浮上したのが「レベル」というワードだった。「ターゲットである30〜40代男性はファミコン世代。『ドラゴンクエスト』などのRPGのゲームを通して『レベル』というワードになじみや親しみがあると予測した」(齋藤さん)。「レベルが上がると今まで出来なかったことができたり、高揚感や楽しさも感じられる」と、ポジティブな語感も決定の理由になった。
一般的に、商品のネーミングが売り上げに実際にどの程度貢献したかは測定しづらく、厳密な因果関係は特定しにくい。しかし「名は体を表す」の通り、短い言葉で商品コンセプトを言い切り消費者に訴求する商品名は、商品の中身と同じくらい重要なポイントだ。商品名とコンセプトが明確にかみ合っているLEVEL9はプロモーションを通じ、ターゲットである中年男性にうまく刺さったといえる。
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