ジムに通うと安くなる保険から考える、健康維持の秘訣とは:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
スポーツジムに通うなど、健康増進活動をすると保険料が安くなるという新しい保険商品が注目されている。運動好きな人を中心にどれだけ保険料が安くなるのかに関心が集まっているようだが、この商品の注目点はそれだけではないのだ。
意思を持つだけでも効果がある?
こうした個人の状況を商品に反映させるというアイデアは以前から存在していたが、実際にビジネスとして確立するためには、詳細な統計データが必要となる。
今回、商品化されたサービスは、南アフリカの金融サービス企業であるディスカバリー社との提携で実現したものである。ディスカバリー社は、世界各国で同様のサービスを提供しており、どのような属性の人が、どの程度、リスクを軽減できるのかという豊富な統計データを持っている。
つまり、この商品において保険料が安くなる基準を知ることができれば、長生きや健康をもたらす要因が何なのか理解できるはずである。実際にこの保険に加入するのかどうかは別にして、生活習慣の見直しに活用できるのは間違いない。せっかく保険会社がこうした商品を提供しているのだから、そのノウハウを利用しない手はないだろう。
ちなみにVitalityでは、加入した段階で無条件に保険料が15%割り引かれるようになっている。
先ほど説明したように、プログラムの利用には月額料金が発生するので、一律で15%の割引を行うのは、顧客にとって支出増にならないための措置と考えられる。だが、見方を変えれば、健康に注意するという意思表示をするだけで、保険会社としてはリスクが低くなると認識していることになる。これは、健康について真剣に取り組むという意思を持つだけで、それなりの効果が得られることの裏返しでもある。
関連記事
- 働き方改革関連法の成立で仕事はどう変わるか?
働き方改革関連法が可決・成立した。国会審議では「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」の是非が主な争点となったが、同法案がカバーする範囲はもっと広い。法案の概要と施行後にどのような影響が及ぶのかについて考察する。 - 転職が増えないと、社会のAI化は進まない?
AI化が進むと人間の仕事の多くが失われるという話は社会の共通認識となりつつある。しかし、現在の労働市場のままでは、AI化そのものがスムーズに進まない可能性もあるのだ。 - 電話やメールでのコミュニケーションが不要になる日は近い
AI社会の前段階としてツールを使った業務の自動化や効率化に注目が集まっている。近い将来、電話はほぼ消滅し、電子メールでのやり取りも激減している可能性があるだろう。 - 銀行マンが転職できるか真面目に考えてみた
メガバンクの大規模な人員削減計画が大きな話題となっている。そこで注目されるのが銀行マンの去就だが、彼らが他業種に問題なく転職できるのか考察してみた。 - 日本が「現金決済」から抜け出せないワケ
個人のちょっとした買い物は現金で済ませ、企業の支払いは請求書を発行して銀行振り込み。当たり前だと思っていた日本の決済環境も、見方を変えると改善の余地がたくさんある。電子マネーやフィンテックの普及は従来の商習慣を見直すよいきっかけとなるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.