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コオロギを食べ続けて、どんなことが分かってきたのか水曜インタビュー劇場(昆虫食劇場)(5/7 ページ)

コオロギやハチの幼虫などを食べる――。「虫を口の中に入れるなんて絶対に嫌」という人にはちょっと信じられないかもしれないが、昆虫を使っていかにおいしい料理をつくることができるのか、といったことを研究している人がいる。本人にインタビューした。

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臭みを生かしてレシピをつくる

土肥: さまざまな声を聞くなかで、どんなアイデアが思いついたのでしょうか?

高橋: 昆虫を使って、おいしく食べることができる料理をつくろうと考えました。自然の食材を使って料理をつくるのが得意な料理家さんにお願いして、レシピをつくってもらうことに。このときに大事にしたことは、既存のレシピを使わないこと。世の中に虫を使った料理はたくさんあるのですが、いまあるレシピに虫を入れているだけのモノが多いんですよね。例えば、昆虫パスタであれば、本来であればエビが入っているのに、その代わりにコオロギを入れるといった感じで。

 でもそうした料理って、そもそも虫が入っていない前提でつくられているので、本来の味を超えることは難しい。そうではなくて、最初から虫を使ったレシピをお願いしました。何も調理していないコオロギの頭を渡して食べてもらう。そして、この味には何が合うのか考えてもらいました。食べながら材料を足していって、おいしいモノができるといった流れですね。


高橋祐亮さんは昆虫食のレシピを考え、食べ続けている

土肥: 「さすがプロ!」と感じた調理方法もあったのではないでしょうか?

高橋: たくさんありました。例えば、バンブーワーム。この虫は竹を食べて育つので、ものすごく青臭いんですよね。僕は「青臭い、青臭い」ばかり言っていて、この臭いを取ることばかり考えていました。でも、プロの料理家は違う。バンブーワームの臭いをかいだところ「これはフルーツに合う」と言って、ココナッツミルクなどを入れて料理を始めました。それまでは「青臭い、青臭い」と言っていたのに、完成した料理はものすごくいい香りになっていたんですよね。

 こうしたことを経験していくと、個人で実験を繰り返すのは「もったいないなあ」と感じるようになりました。それぞれの分野のプロが意見を出し合えば、圧倒的に質のいいモノができるはず。それをうまく結合すれば、これまでになかった昆虫食を発見することができるのではないかと考えました。

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