“雇い止め訴訟”相次ぐ「無期転換の2018年問題」 企業はどう対応するか:本格適用始まり「トラブル続出」(1/5 ページ)
有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが、希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換申込権」が今年4月から発生した。対象者は450万人と推計されているが、雇用契約を更新されない「雇い止め」も起こっていて、契約社員が勤務先を訴える裁判が相次いでいる。企業はいかに対応すべきなのか。
有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが、希望すれば無期雇用に転換できる、労働契約法18条の「無期転換申込権」が2018年4月から発生します。無期転換申込権が続々と発生し、無期転換の対象社員に向けた書類の整備や社内説明会などの対応に追われている企業も多いでしょう。
対象者450万人と推計される「無期転換ルール」ですが、無期転換前に雇用契約を更新しない「雇い止め」を不服として、契約社員などの有期契約労働者が勤務先を訴える裁判が相次いで報道されています。そこで無用な紛争を避けるにも、今回はこの「無期転換ルール」について、企業がいかなる対応をとるべきかを説明したいと思います。労使がそれぞれの立場から契約内容や条項をできる限り細かく検討し、雇い止めの条件についても明確に合意しておくことが必要です。
1.書籍や行政のパンフレットを確認する
無期転換制度についてはすでに多数の書籍が出ていて、行政からも以下のようなパンフレットが発行され、厚生労働省のWebサイト上でも入手できます。
(1)「有期労働契約の新しいルールができました 労働契約法改正のあらまし」
(2)「無期転換の準備、進めていますか? 〜有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック」
(3)「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」
また厚生労働省は、「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」を公開しており、上記のパンフレットにはない情報も記載されています。これらの情報・資料は、「無期転換ルール」への対応に当たっての前提知識となるので、必ず入手してください。
2.制度を理解せずに「規定例(ひな型)」をコピペする危険性
労働契約法18条の無期転換制度を検討する場合(1)無期転換申込権の発生要件(2)クーリング制度(3)有期特措法(「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」)などの知識が前提となります。
これらは労働契約法18条の条文や同法の施行通達(「労働契約法の施行について」)などでも説明されていますが、いきなり条文や施行通達を読んでも理解できないでしょう。そこで「1.書籍や行政のパンフレットを確認する」で紹介した厚生労働省のパンフレットを参考にして無期転換ルールをきちんと理解してください。
怖いのは「わが社ではすでに規定を設けているから大丈夫」と思っていても、実際に設けた規定が安易にインターネット上にある規定例(ひな型)をコピーしたものである場合、本来設けるべき規定が抜けているなど、そもそも規定の意味が分からず実際の運用面で支障をきたしてしまうことです。
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