2015年7月27日以前の記事
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“雇い止め訴訟”相次ぐ「無期転換の2018年問題」 企業はどう対応するか本格適用始まり「トラブル続出」(2/5 ページ)

有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが、希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換申込権」が今年4月から発生した。対象者は450万人と推計されているが、雇用契約を更新されない「雇い止め」も起こっていて、契約社員が勤務先を訴える裁判が相次いでいる。企業はいかに対応すべきなのか。

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無期転換後の労働条件をいかに設定するか

3.無期転換時に賃金や配転範囲などの労働条件を変更するか?

 無期転換社員に関する制度設計で最も重要なのは、無期転換後の労働条件をいかに設定するかです。具体的には(1)有期契約時(無期転換前)の労働条件を維持するか(2)労働契約法18条1項の「別段の定め」を設けて条件変更するかという問題です。この問題を検討するに当たっては、社内の人事制度や今後の有期契約労働者の採用・人材育成において、無期転換をする社員をどのように位置付けるかという視点が必要です。

 (1)有期契約時(無期転換前)の労働条件を維持する方法については、対応が比較的簡単です。実際、有期契約労働者用の就業規則に、無期転換の規定を追加する方法で対応している企業も多いです。しかしこの場合でも、「無期転換前の労働条件のまま無期化して大丈夫なのか?」という視点が必要であり、無期転換前の有期契約労働者用の就業規則に不備があれば無期転換前に手直しをしておく必要があります(この点は「4.無期転換社員の労働条件を検討する前に」でも述べます)。

 また無期転換後も、定期的に労働条件を変更することが想定されるのであれば、「無期転換後の労働条件の定期的見直し・変更」に関する規定を盛り込むことが必要です。この「無期転換後の労働条件の定期的見直し・変更」については、労働契約法の施行通達や厚生労働省のパンフレット(有期労働契約の新しいルールができました 労働契約法改正のあらまし)の5頁(丸囲み部分)でも説明されています。

 有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻などの労働条件の見直し・変更が行われていた場合に、無期労働契約への転換後も、それまでと同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは、差し支えないとされています。

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