“雇い止め訴訟”相次ぐ「無期転換の2018年問題」 企業はどう対応するか:本格適用始まり「トラブル続出」(3/5 ページ)
有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが、希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換申込権」が今年4月から発生した。対象者は450万人と推計されているが、雇用契約を更新されない「雇い止め」も起こっていて、契約社員が勤務先を訴える裁判が相次いでいる。企業はいかに対応すべきなのか。
まずは「無期転換ルール」を正確に理解
4.無期転換社員の労働条件を検討する前に
無期転換ルールの対応というと、無期転換後の労働条件や無期転換社員用の就業規則例が頭に浮かびますが、まずは無期転換ルールの正確な理解が前提です。その上で、現状の有期契約労働者の労働条件を確認する必要があります。
実際、無期転換社員の制度設計の際に、有期契約労働者用の就業規則を併せてチェックしていると、懲戒処分の規定がなかったり、正社員の規則をそのまま準用していたり、不備があるものも少なくありません。無期転換前であれば、契約更新時に労働条件を見直す方法もありますが、無期転換した場合は「就業規則の不利益変更」(労働契約法9条、10条)が問題となります。
このように、無期転換前の労働条件をきちんと洗い出しておかないと、無期転換後の労働条件も整備できません。そこで、現状の有期契約労働者に適用される就業規則や労働契約書などを漏れなく集めて整理し、(1)不統一がないか、(2)無期転換したときに不合理となる規定はないか、を検証します。
その際、契約更新時に労働条件を見直す根拠条項を設けてあるかを確認してください。この規定があれば「3.無期転換時に賃金や配転範囲などの労働条件を変更するか?」で述べた「無期転換後の労働条件の定期的見直し・変更」の規定にスムーズに移行することができます。
また、(i)有期契約労働者の労働契約書などで勤務地や職種が限定されていないか、(ii)仮に限定されている場合は、無期転換時の限定解除や限定範囲の拡大(配転範囲の拡大)の必要があるか、を検討してください。
以下は、無期転換ルールに関するチェックリストです。紙面の関係上、細かな説明は割愛しております。詳しい説明は日本法令から拙著『改訂版 有期労働契約 締結・更新・雇止めの実務と就業規則』が出ておりますので、それを参考にしていただければと思います。
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