“雇い止め訴訟”相次ぐ「無期転換の2018年問題」 企業はどう対応するか:本格適用始まり「トラブル続出」(4/5 ページ)
有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが、希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換申込権」が今年4月から発生した。対象者は450万人と推計されているが、雇用契約を更新されない「雇い止め」も起こっていて、契約社員が勤務先を訴える裁判が相次いでいる。企業はいかに対応すべきなのか。
無期転換ルールに関するチェックリスト
I:無期転換ルールの理解確認
1.無期転換に関する労働契約法18条の条文および同条に関して説明した労働契約法の施行通達は理解したか?
労働契約法の施行通達の理解は必須。
2.無期転換に関する厚生労働省のWebサイトにあるパンフレットは全てプリントアウトして整理したか?
有期特措法の資料も必須である。
3.有期特措法の説明ができるか?
「事業者認定が必要であること」や「高齢(60歳以上)の有期契約労働者全員」が対象となるわけではない点に注意。
4.無期転換ルールの説明ができるか? 無期転換ルールと正社員登用制度の違いを説明できるか?
無期転換申込権は、いつ発生するのか。申し込まれるとどうなるのか。労働条件が「無期労働契約」に転換するのはいつか。クーリング制度とは何か。以上の観点から整理する。
5.無期転換前に契約不更新とする場合、どのような問題が発生するか説明できるか?
労働契約法19条の雇い止めの問題である。更新上限に関する議論も整理しておくこと。
II:必要書類(社内資料)の準備
6.正社員以外の従業員リストを準備したか?
有期パートや再雇用社員などを漏れなく集める。
7.有期契約社員用の就業規則を準備したか?
賃金規程も別にあれば併せて入手。なお、規則検討時には抜粋でなく全文を準備すること。
8.有期契約労働者に適用される労働契約書(労働条件通知書)を準備したか?
労働組合との労働協約も適用される場合は、労働協約もセットで入手し、整合性を確認。
9.正社員・限定正社員への登用制度(登用規定)があるか確認したか? また、根拠となる規則を準備したか?
無期転換ルールとの関連性を検討する。
10.正社員・限定正社員と非正規社員の待遇差の比較資料を作成したか?
無期転換後の待遇決定の際の検討資料とする。
無期転換時の待遇アップは、他の契約形態で働く社員の待遇や職務内容、人材活用の仕組みを視野に入れる必要がある。
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