連載
50年変わらない日本人の「生産性」は悪なのか?:幸せと生産性を考える(3/3 ページ)
この連載では「生産性と幸せ」をテーマに考えていきます。そもそも生産性とは何なのか。私たちの日々の仕事とどう絡めればいいのか。私たち一人一人の幸せと生産性の関係についても触れながら、「なるほど、そういうことか」「これまでとは違う視点でも考えてみたいな」と思うきっかけになれば幸いです。
大事なものは何だろう?
話を生産性に戻すと、働き方改革の主な目的は、長時間労働の解消、育児や介護と仕事時間の両立、賃金の格差是正などと言われています。働く「人」としての幸せを維持しようということですから、もちろん悪いことではありません。このうち、労働時間を削減しつつ、これまでと同じかそれ以上の成果は出さなければならないという意味で「生産性向上」と叫ばれているわけです。
でも、たとえ数値上の生産性が上がったとしても、あなたが「ありがとう」と言い合えない職場、チームに貢献できている実感がもてない職場にいたとしたら、果たして幸せでしょうか。
長時間労働の解消のために、業務改善をして生産性を高めるのは、私たちが「幸せ」に生きるための1つのToDo、つまり手段です。大事なことは、働く「人」としての幸せが維持されていることです。それが目的でもあり土台にもなります。
業務改善からスタートするのではなく、ありがとうと言い合える信頼感あるチームづくり。かいつまんで言えば、生産性の前に働く人の幸せ。この考えをベースに、手段としての業務改善などの生産性向上を考えていこうと思います。幸福度が上がると生産性も上がっていきます。
次回は、私たちに身近な「会議」に焦点を当てて、幸福度と生産性についての考察を深めていきます。
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