2015年7月27日以前の記事
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回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった徹底的な効率化を推進(2/5 ページ)

大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。

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厨房のモニターに映し出される注文状況

 厨房内にはいくつものタブレットが設置されており、「店内にお客が何人いるのか」、「現在、レーン上にあるすしの数と種類はどうなっているのか」、「注文状況はどうなっているのか」といった情報がリアルタイムで映し出される。従業員はこのタブレットの指示に従い、調理をする。

 タブレットに映し出される情報は、主に3つのデータを統合したものである。

 店内の客数は店舗の受付にある端末から入力する。すしを乗せる皿には透明なカバーがついているのだが、このカバーの上部にICチップが埋め込まれており、チップを読み取ることでレーン上のすしの数と種類を把握できるようになっている。注文状況は各テーブルにあるタッチパネルから把握できる。これらの情報を統合し、くら寿司が独自に開発した需要予測システムが次に調理すべき商品を指定しているのだ。

 この大規模なシステムが普及する前、くら寿司ではすしレーンに投入するすしを店長の“勘と経験”で決めていた。各テーブルに積まれている皿の量や、食事の進み具合などを踏まえ、店長が判断していたのだ。しかし、このシステムが普及したことで、店長は店内を見て回る必要がなくなり、調理や従業員のマネジメントに専念できるようになった。ちなみに、お客が座るボックス席の背が高くなったのは、お客の満足度を高めるだけでなく、店長が店内を見回る必要がなくなったからだという。

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厨房内に設置されているモニター

徹底した効率化を推進する理由

 調理だけでなく皿洗いの仕事も自動化されている。くら寿司では、お客が食べ終わった皿をボックス席に備え付けられた投入口に入れるようになっている。投入された皿は、すしレーンの下を流れる水により自動的に洗い場まで運ばれる。店舗の従業員がすることは、終着点に集まった皿を取り出して食洗器にセットするだけだ。広報担当者は「お客さまが200人いても、洗い場に1人いれば対応できます」と胸を張る。

 くら寿司がここまで業務の効率化にこだわる理由は何だろうか。回転すしはもともと「高原価、低価格」のビジネスモデルとなっている。お客は安くておいしいすしを求めて来店するため、各チェーンは他の外食企業とくらべて原材料にお金をかけるだけでなく、廃棄されるすしを少しでも減らそうとする。お客の満足度と利益を両立させるためには、徹底した人件費の削減が必要となるのだ。

 ただ、くら寿司の場合、「何が何でも効率化を進める」というスタンスではない。例えば、ラーメンのスープに使用するダシは各店舗でカツオブシや昆布を煮出してつくっている。

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水で運ばれた皿はここに行き着く

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