コラム
アイコス用たばこはどう作っている? スイスの工場と研究所に行ってきた:新型デバイス登場でシェア拡大なるか(2/6 ページ)
新型が発売された「アイコス」。そのヒートスティック工場と、研究・開発施設の内部を取材した。PMIの責任者に、日本・米国市場での展望についても聞いた。
ブラジルやイタリアなどから収穫
工場に足を踏み入れると、商品用や、安全性を評価する試験用のヒートスティックを製造する数々のマシンが目に入ってくる。アイコス専用のタバコ葉が詰め込まれた、1箱当たり130キロもの段ボール箱も所狭しと積まれている。
アイコス用のタバコ葉は、ブラジルやイタリアなどから収穫され、運ばれている。独自の吸い心地を実現するため、紙巻きたばこには使用されていない銘柄も含まれているという。
その中でひときわ目を引いたのは、ピラミッドを逆さまにしたような逆三角形の機械だ。その内部では約1500キロのタバコ葉が約45分間混ぜ合わせられ、各銘柄がムラのないようにミックスされる。
ムラなく混ぜられたたばこ葉は、さらに細かくパウダー状に切り刻まれた後、水やグリセリン、両者を結合させる天然由来の成分「グアーガム」と一緒に、別の機械で再度混ぜ合わせられる。
切り刻むだけではなくシート状に加工
アイコスのヒートスティックに含まれるタバコ葉は、燃やさず加熱するだけでしっかりとした吸い心地を味わえるよう、切り刻むだけでなくシート状に加工されている。
このシートをつくるため、水やグリセリンと混ぜられたタバコ葉は、温度を12〜13度、湿度を8〜9%に維持した環境で乾かされる。次に、ミシンなどで使われる糸巻き用の道具「ボビン」を巨大化したような機械で巻き取られ、紙のように薄いシートに成型される。
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