アイコス用たばこはどう作っている? スイスの工場と研究所に行ってきた:新型デバイス登場でシェア拡大なるか(5/6 ページ)
新型が発売された「アイコス」。そのヒートスティック工場と、研究・開発施設の内部を取材した。PMIの責任者に、日本・米国市場での展望についても聞いた。
米国で売れるのはいつ?
アイコスにこれほどの自信を持つPMIが、その安全性を徹底的に研究し続ける目的の1つに、推定4000万人の喫煙者がいると想定される米国でのアイコス展開がある。
アイコスを世界38カ国で展開するPMIだが、2016年12月〜17年3月にかけて米国食品医薬品局(FDA)に販売申請を提出したものの、現在も審査が続いており、米国での販売には至っていない。
これまでに提出された資料の量は約200万ページに及ぶというが、今後もさまざまな実験を行って成果を提出し、販売許可の獲得につなげる構えだ。
上層部の見解は……
FDAがアイコスの販売許可を出すのはいつになるのか。CUBEで10月上旬に開かれた会見に登壇した、PMIバイスプレジデントのモイラ・ギルクリスト博士に見解を聞いたが、同氏は「未来のことは分からない。準備が整った段階で承認してもらえるとしか言えない。当局(FDA)との対話は続けており、提供を求められるたびに先方が欲する情報を出してきた」と話すにとどまった。
ただ、医学界の一部では、動物実験に基づいて「アイコスには肝毒性がある」との研究結果をまとめた論文が医学雑誌に掲載されるなど、その安全性に疑問を呈する声もある。
批判的な研究に関する見解を聞いたところ、「PMI以外の研究機関が行っている動物実験は認識していない」と前置きした上で、「外部の科学者は、当社と似た研究成果を発表するケースが多い。当社の研究結果が補強されるという意味では心強いが、さらに独立した実験をして、独自の結果を出してくれるとよりうれしい」とした。
日本は特別な場所
他国に先駆け、14年にアイコスの提供を開始した日本市場に話題が及ぶと、同氏は「(日本は)特別な場所であり、いまでは数百万人の方が(紙巻きたばこから)切り替えてくれた」と手応えを示した。
今回発表した新型端末「アイコス3」「アイコス3マルチ」が日本市場にもたらす影響については、「当社が技術的に美しく、機能的にも優れた製品を生み出せることを見せられる」と自信を見せた。
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