アイコス用たばこはどう作っている? スイスの工場と研究所に行ってきた:新型デバイス登場でシェア拡大なるか(4/6 ページ)
新型が発売された「アイコス」。そのヒートスティック工場と、研究・開発施設の内部を取材した。PMIの責任者に、日本・米国市場での展望についても聞いた。
研究施設「CUBE」とは?
PMIがスイス・ヌーシャテルに構えている施設はこれだけではない。工場から徒歩1分程度の場所には、R&D(研究・開発)施設「CUBE(キューブ)」がそびえ立っている。
その名の通り長方形のCUBEでは、アイコスの煙に含まれる有害物質の量を測定したり、紙巻きたばこと比較したりといった実験が日々行われている。アイコスの安全性を証明するため、PMIが「アイコスが発する有害物質は紙巻きたばこよりも約90%少ない」といった研究結果を相次いで発表してきたことは過去の記事などでも紹介してきたが、こうした試験の一部もCUBEで実施されているのだ。
たばこ保管庫や実験室を完備
CUBEの内部には、安全性の評価試験で使うたばこを管理する保管庫や、アイコスのエアロゾルや紙巻きたばこの煙を採取・分析するための機械が並ぶ実験室などの設備がある。また、あくまで“インテリア”として、フリースペースなどの各所でタバコが栽培されている。
保管庫では、気温が22度、湿度が60%に統一された環境下で、膨大な数の実験用の紙巻きたばことヒートスティックが管理されている。各たばこは保管庫に届いた後、最低48時間寝かされて状態を均一にそろえられ、安全性を確かめる試験などに回される。
実験室には、同時に20本のたばこに火をつけ、そこから出る主流煙を大量に吸引できる機械などが設置されている。主流煙に含まれる有害物質のうち、揮発性が高いものは試験管内の液体薬品に溶かされ、そうでないものはフィルターに付着させる形で採取される。
採取された有害物質は、科学者の手によって分析される。彼らはそこから得られたデータを基に、紙巻きたばことアイコスの安全性を比較し、論文などを執筆するのだ。
アイコスを吸いながら働ける
またPMIは、CUBE内のフリースペースなどでのアイコス使用を許可している。同僚の許可を得た場合は、実験施設などを除く執務室でアイコスを吸いながら働くことも可能という。
スイスでは屋内での喫煙が法律で禁じられているが、アイコスのエアロゾルは煙ではなく蒸気であり、内部に含まれる有害物質が少ないことや、CUBE内の換気体制が整っていることから、特別に許可を得ているとのことだ。
関連記事
- フィリップモリス、新型「アイコス」2機種発表 充電短縮、連続使用
アイコスに2機種の新モデルが登場。充電を40秒短縮した「アイコス3」、10回連続で使用できる「アイコス3 マルチ」。価格は前者が1万980円、後者が8980円(ともに税込)。 - 「10本連続で吸える」新型アイコスでシェア拡大なるか フィリップモリスの挑戦
フィリップ モリス ジャパンが新型「アイコス」を発表。うち「アイコス3 マルチ」は、初の連続使用に対応し、ヒートスティックを約10本連続で喫煙できる。新端末を出す狙いは、日本の加熱式たばこ市場でシェアを伸ばし、再び圧倒的首位に立つことだ。 - 「アイコス」は紙巻きたばこより安全――フィリップモリスが強調する狙いとは
フィリップモリスが、紙巻きたばこから「アイコス(IQOS)」に切り替えると疾病リスクが下がるとの試験結果を発表。切り替えた人は、喫煙を続けても体内から発がん性物質などが減っていたという。結果はFDAに提出済みで、米国での販売許可獲得につなげる狙い。 - 「アイコス」「グロー」「プルーム・テック」は何円に? 10月に値上げするたばこ銘柄まとめ
10月からたばこ税が増税となる。たばこメーカー各社は、紙巻きたばこ・加熱式たばこなどの各商品を10月1日から値上げする。各社が値上げする銘柄をまとめた。 - JT、ウィンストンに「19本入り410円」の新商品 増税後も手に取りやすく
JTが、箱内のたばこ本数を減らすことで価格を抑えた新商品を発表。ウィンストンブランドに「19本入り410円」の新商品を追加する。同ブランドの「コンパクト・ブルー」シリーズも同様の価格設定となる。 - 約半数の喫煙者が「禁煙の予定なし」 絶対にやめない理由は……?
喫煙者がたばこをやめない理由は?――プラネット調べ。 - 増税・値上げを機に「たばこをやめる」人は何割? 喫煙者に聞いた結果は……
クロス・マーケティングの調査によると、10月のたばこ増税を機にたばこをやめる予定の喫煙者は12.1%。喫煙習慣を変えない人が多数を占めた。増税に反対する人も多かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.