ニュース
「バカマツタケ」、バカにできない本物並みの味 人工栽培に成功:香りならマツタケ超え!?(3/3 ページ)
多木化学がマツタケの近縁のキノコ「バカマツタケ」の完全人工栽培に成功したと発表。味や香りは本物と同格かそれ以上。生きた木と共生して育成するメカニズムを解明した。
3年後の商品化目指す
今回突き止めたバカマツタケの具体的な成育条件は「企業秘密」(秋津さん)だが、4月には3カ月の培養期間を経て長さ9センチ、重さ36グラムのバカマツタケを収穫した。その後も育成に成功、秋津さんもその1本を味わってみた。「素材(の味)を重視して焼いて食べたが、香りの強い天然物と同じ味わい」(秋津さん)。
今後、多木化学は自社生産に向けて準備を進め3年後の商品化を目指す方針だ。季節と関係なく生産できるため価格は天然のマツタケより安価になるとみられ、品質も安定し虫の混入も防げるという。
今回の栽培成功は他のキノコの専門家からも評価の声が上がる。一般財団法人・日本きのこセンターの菌蕈研究所(鳥取市)の長谷部公三郎所長は「生きた植物無しでの菌根菌の栽培はこれまで難しいとされてきており意義がある。木から供給されている栄養を(特定して)与えることができたのではないか」と話す。「消費者にさえ受け入られれば、マツタケが欲しいなと思ったときに比較的簡単に入手できるようになるだろう」。
秋津さんは当面、バカマツタケ生産の研究に専念するが「(この技術を)適用してマツタケの人工栽培の研究にも挑んでみたい」と意気込む。
関連記事
- ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由
今年もウナギ業界最大のお祭り「土用の丑の日」がやってきた。だが、そのお祭りを支えるのは、暴力団による密漁、そして香港を経由した「密輸ロンダリング」など、「異常」とも呼べる数々の違法行為だ。遅々として進まない日本政府の取り組みを尻目に、イオンや岡山のベンチャー企業「エーゼロ」は持続可能な養殖に向けて挑戦を始めている――。 - 「安ければ売れる」で痛い目を見たキノコ営業マンを変えた一言
キノコは冬場に飛ぶように売れるが、夏場は苦戦する。キノコメーカーであるホクトの東北エリアで営業リーダーを務める日柳さんは以前、夏場に何の理由もなく安売りをしたことで大失敗したという。 - 10年間宣伝ゼロのマーガリン 売り上げが突如6倍になった真の理由
たらこ入りマーガリンが発売10年目に宣伝無しでメーカーも困惑する謎のヒット。Twitterがきっかけだが背景にはそもそもSNSで興味をひきやすい商品の魅力があった。 - 「香り付け」は逆効果? かんきつ系のにおいはオレンジ色を“覚えにくく”する
九州大学の研究グループが「かんきつ系の果物に含まれるにおいがオレンジ色を覚えにくくする」効果があることを発見。安易ににおいをつけた広告は、逆効果になるかもしれない。 - キユーピーが業界の少量志向に反しドレッシングを「増量」した理由
キユーピーが主力ドレッシングのうち150ミリリットルのボトルを増量。少量こそ利便性が高いとする業界の常識に反するが家庭への精密な調査でサラダの消費が増えていると判断した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.