“やりがい搾取”に疲弊 保育士を追い詰める「幼保無償化」の不幸:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/5 ページ)
消費増税まであと1年。同時に「幼児教育・保育無償化」も始まる。しかし「保育士の7割が反対」という調査結果が示され、受け皿の不足と負担増加が懸念されている。このまま無償化するのは「保育士は灰になるまで働け!」と言っているのと同じなのではないか。
「これ以上は無理」と手を抜く“緩さ”も必要
バーンアウトに陥った人は、仕事へのモチベーションが高いだけに、ゼロになったエナジーが数パーセントでも回復すると、再び、燃え尽きた環境に果敢に挑むために立ち上がろうとしてしまいがちです。
「今度こそは、うまくやらなきゃ」
「休んだ分も取り戻さなきゃ」
「これで辞めてしまっては、責任を果たせない」
などと、それまで以上にエナジーを注ごうと必死になる。
とはいえ、どんなに頑張ったところで、燃え尽きた灰は、しょせん灰です。個人の熱い思いとは裏腹に、「ストレス銃弾が飛び交う戦場」に戻った途端、最後は自分までもが灰のようにへとへとになり、それがウツなどにつながる心身衰弱のネガティブスパイラルに入り込む。
有能な人ほど、仕事ができる人ほど、仕事が好きな人ほど、「子ども好き」な人ほど、まるで底なし沼のようなネガティブスパイラルにはまり、取り返しのつかない状態に陥る危険性をはらんでいるのです。
とどのつまり、バーンアウトは「心と身体を休めただけでどうにかなるという症状ではない」。この基本原理をきちんと理解した上で回復の手順を踏まないと、取り返しのつかないことになりかねません。
ウツの予防には心と体を休めることが肝心ですが、バーンアウト予防はそれだけでは無理。仕事にコミットしすぎる働き方を見直し、労働時間を徹底的に削減し、職場から距離をおくことが必要不可欠です。
自分がイメージしているような接し方が子どもにできないことがあったとしても、「これ以上は無理」と手を抜き、自分を許す緩さを持たなくてはなりません。
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