総務や人事が働き方改革の“ボトルネック”になっていないか?:「月刊総務」豊田編集長に聞く(4/5 ページ)
企業で「働き方改革」をリードする立場にある総務部門や人事部門。このミッションを遂行する上で彼ら自身の働き方も焦点になってくる。事情に詳しい「月刊総務」の豊田編集長に勘所を聞いた。
総務がリードして変革を起こした事例
伏見: さまざまな企業の総務部門の仕事ぶりを取材されている中で、いわゆる「総務のプロ」が率先して働き方を変革していった企業事例はありますか?
豊田氏: いくつかの企業が、とてもユニークで先進的な施策に取り組んでいます。企業の生産性向上の取り組みを「効率性の向上」と「創造性の向上」に分けるとすると、前者の取り組みの代表例としては、総務部門によるコンシェルジェサービスが挙げられます。現場部門の効率性を上げるために、現場の仕事を側面支援するコンシェルジェの人員を総務部門が準備し、場合によっては現場に常駐させたり、特定の従業員が担当したりする取り組みを始めている企業もいます。
伏見: 現場の仕事を総務が巻き取って、効率アップを図るわけですね。
豊田氏: もう1つのパターンが、総務と現場との間の接点を変える動きです。これまで、現場が総務に何か問い合わせたり、依頼したりする場合は、内線電話やメールを用いるのが普通でしたが、これをチケットシステムに置き換えたり、あるいはFAQシステムを間に置いて、よくある問合せに関してはユーザーの自己解決を促すような取り組みがさまざまな企業で進められています。今後はチャットボットやロボットなどをここに応用する動きが加速するのではないかと見ています。
伏見: なるほど。「創造性の向上」についてはいかがでしょうか?
豊田氏: こちらに関しては、オフィスのデザインが主な取り組みとなります。オフィス移転を機にオフィス内のデスクや会議室のレイアウトを大胆に変え、より社内のコミュニケーションを活性化して創造性を喚起し、結果的にイノベーションが起こりやすくなるオフィスの設計に乗り出す企業が増えています。ただ、働き方改革のためにフリーアドレスを導入する企業は多いのですが、いつの間にか実質的に固定席と変わらなくなってしまい、結局形骸化してしまうケースが多いですね。
伏見: 新たな制度は導入して終わりではなく、その後も改善を繰り返していかないと、どうしても形骸化してしまうことが多いですね。
豊田氏: オフィスデザインに関して言えば、「オフィス美化委員会」「自治委員会」のような形で、現場の人々を巻き込んで常に改善を続けていくことがポイントですね。「オフィスは総務のものだ」と思われてしまうとアウトです。そうではなく、「オフィスは現場のわれわれが積極的に関与するものなのだ」という意識を現場にいかに根付かせるかが、オフィス改革の成否の分かれ目になると思います。
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