インタビュー
ゼロから50人に急増、なぜグロービスは異質のエンジニア採用に成功しているのか?:生まれ変わる組織(4/6 ページ)
ビジネススクールとして著名なグロービスが大変革を起こしている。2016年に初めてリードエンジニアを採用し、ビジネスおよび社内のデジタル化に力を入れているのだ。関係者を取材した。
優秀な人材獲得のポイントは「働きやすさ」と「やりがい」
エンジニアたちをこれだけ厚遇する背景には、人材獲得競争の厳しさがある。エンジニアを採用し、入社後もマネジメントする立場にある井上さんは「テクノロジー人材にとって働きやすい環境を整えないと、『この会社は働きづらい』と思った瞬間に、彼らは転職を考え始めます」と言い、上に挙げたインフラ面の整備に加え、部内旅行で親睦を深めたり、メンバー皆で事業部の共通価値観を検討したりといった、チーム作りやモチベーションの維持にも力を入れてきたことを強調する。
報酬だけ見ると、メルカリなどの勢いあるIT企業にはかなわない。それでも優秀なIT人材を採用できているのには、やりがいある仕事への期待が大きいという。
「私たちが掲げている、『社会人の学び×イノベーション』でユニークな存在になるという目標に共感して来てくれる方が多いです。例えば『将来、自分の子どもに誇れるような仕事をしたい』と考えているエンジニアの方が、教育という分野であれば世の中に価値のあるものを作っていけそうだと期待して入ってくれるのです」(井上さん)
新たに採用したIT人材で、これまでに離職したのは1人のみ。入社したエンジニアが元同僚に声を掛けて引っ張ってくるといったリファラル採用も数多く実現しているという。働きやすさと仕事のやりがいの両輪で人材を引きつける同社のやり方は、今のところ非常にうまくいっていると言えるだろう。
関連記事
- 天才プログラマー・佐藤裕介は限界を感じていた――知られざる過去、そこで得たメルカリ対抗策
2018年2月に誕生したヘイ株式会社。代表取締役にはプログラマーの佐藤裕介さんが就任した。佐藤さんはGoogle出身で、フリークアウト、イグニスの2社を上場に導いた人物。そんな彼がheyを設立したのは、順風満帆に見えるキャリアの陰で抱えていた、自分のある「限界」を突破するためだった。 - 65歳でネスレに中途入社したベテラン営業マンが輝いている理由
大手メーカーで営業マンとして20年以上働き、50代で起業経験もある石川さんは、65歳でネスレ日本に入社した。上司や同僚にも仕事ぶりが評判だというが、そのわけとは――。 - 30歳で楽天を辞めた元副社長が私財を投じて学校を作る理由
かつて三木谷浩史とともに楽天を創業し、副社長を務めた本城慎之介。彼は2002年11月に30歳で楽天副社長を退社して以降、教育畑に転身した。現在は長野・軽井沢の地で幼稚園・小・中学校の混在校である「軽井沢風越学園」の開校を目指している。彼が成し遂げようとしていることの本質を探った。 - 弱みだった「人」をどう変えた? アルバイト出身の女性役員が語るスープストックトーキョー流の働き方
スープ専門店「Soup Stock Tokyo」を展開するスープストックトーキョーでは従業員の働きがいと働きやすさを推進し、顧客へのサービス向上や従業員のキャリア支援にもつなげようとしている。その取り組み内容や成果について、同社取締役の江澤身和さんに話を聞いた。 - ファンケルの「アクティブシニア社員」は会社に何をもたらすのか?
労働人口が減少する日本において、いち早くシニア世代が活躍する場所を作ろうとする企業が出てきている。化粧品と健康食品メーカーのファンケルでは65歳以上の社員が柔軟な勤務体系で働き続けられる「アクティブシニア社員」という制度を打ち出した。そこで活躍する社員に実際の話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.