岡山のスーパーが、膨大なデータを分析するワケ:水曜インタビュー劇場(情報公演)(2/6 ページ)
岡山のスーパー「マルイ」が、ちょっと面白いことをしている。店舗の客数、売り上げ、単価などをリアルタイムで知ることができ、次の一手を考えているのだ。なぜ膨大なデータを分析しているのかというと……。
競合店が進出してきた!
土肥: 2017年11月に、BIツール「Domo」を導入したそうですね(BIツール:企業に蓄積されている大量のデータを分析して、意思決定を助けるためのツール)。客数、売り上げ、客単価などがリアルタイムに分かる。目標金額に対してどのくらい達成しているのか、対前年比でプラスなのかマイナスなのかといった数字も見ることができる。店別、エリア別などでも分析することができるそうですが、具体的にどのように使っているのでしょうか?
中山: 今年の10月。とある店の近隣に、大手流通チェーンが進出してきました。そのタイミングに合わせて、競合の2店舗もリニューアルをしたんですよね。影響はどのくらい出ているのか、エリア別で見て客数はどうなっているのか、年代別に見て売り上げはどうなのか。対前月比で調べたところ、5〜6店舗で10%ほどの影響が出ていることが分かってきました。
土肥: うわっ、それは大変。で、どうしたのですか?
中山: 以前であれば、そのような数字を知るのに時間がかかっていました。さまざまなデータを集めて、その数字を分析して会議で議論する。ああでもないこうでもないといった感じで対策を考えて、実行に移すのは2カ月後でした。競合対策をよっこらしょと打つわけなのですが、そのときにはもう遅い。かなり深い傷口になっていて、ダメージを受けるケースがありました。
ただツールを導入することで、速いタイミングで手を打つことができるようになりました。先ほどのケースで言えば、店の北側エリアは「大丈夫」と見込んでいたんですよね。でも出店の影響は強く出ていて、売り上げは大きく減少していました。また以前であれば、なんとなく売り上げが落ちているといった感覚で受け止めていましたが、いまは細かく分析することができるんですよね。
男女別でどうなのか、年齢別でどうなのか、時間帯でどうなのか。そうした数字を知ったとき、スーパーは何ができるのか。そのエリアに広告を出したり、DMを打ったりすることができる。惣菜に強く影響が出ているようであれば、種類を増やしたり、見せ方を変えたり、料金を変えたりして、傷口が広がる前に止血できるようになりました。
土肥: いわゆるPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)を高速で回すことができるようになったわけですよね。
中山: 言葉で表現するとそのようになりますが、スーパーでPDCAを回すのは難しいんです。
土肥: ん? それはなぜ?
関連記事
- 東京で「フードトラック」が、どんどん増えている秘密
平日の昼。毎日同じようなモノを食べていて、飽きているビジネスパーソンも多いのでは。そんなランチ難民とも言える人を救うかもしれないサービスが登場している。フードトラックと空きスペースがあるオフィスビルをマッチングさせるサービスで、そこで提供されるランチを利用する人が増えているのだ。 - 700台のカメラを設置して、スーパーの「トライアル」は何を分析しているのか
スーパーマーケットの「トライアル」が、近未来を感じさせられる店舗を構えた。店内には700台のカメラを設置して、人の動きや商品棚をウォッチしているという。最先端の技術を導入して、どんなことが分かってきたのか。 - 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。 - えっ、CDプレーヤーが売れている? エスキュービズムの戦略が面白い
ポータブルタイプのCDプレーヤー市場が面白いことになっている。市場が縮小していくなかで、新興メーカーのエスキュービズムが発売したところ、ある層を中心に売れているのだ。「CDプレーヤーなんてオワコンでしょ」と言われているなかで、どういった人たちが購入しているのか。 - サラリーマンの味方「切腹最中」は、なぜ1日に7000個も売れるのか
お詫びの手土産として、多くのサラリーマンが購入する「切腹最中(せっぷくもなか)」をご存じだろうか。1990年に発売したところ、当初は注目されていなかったが、いまでは多い日に7000個以上売れている。「切腹」という言葉が入っているのに、なぜヒット商品に成長したのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.