リーダーがPCを使わないことがもたらす、想像以上に深刻な事態:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
桜田義孝五輪担当相が「自分でPCを打つことがない」と発言したことが大きな話題となっている。この背後にはもっと深刻な問題が横たわっており、PC操作は氷山の一角でしかないのだ。
グローバル化の本質は英語を話すことではない
かつては主要国ではない国の大学を卒業した人物が、どの程度のスキルや知識を持っているのか、即座に判断する手段はなかった。しかし社会のIT化が一気に進み、全世界的なデータベースの構築が進められたことで、今ではどんな小国であっても、大学名と学部が分かれば、その人材をどの程度のポジションと給与で処遇すればよいのか、たちどころに把握できるようになっている。
業務の手順もかつては国ごとにバラバラだったが、ITシステムの普及が進んだことで、言語こそ異なっていても、業務プロセスは似たようなものとなってきた。国籍が異なる人材であってもスムーズに採用し、即戦力として活用できるのは、こうした標準化が進んだからである。
業務プロセスが標準化されれば、当然、消費者向けサービスも標準化が進む。海外に出る機会が多い人なら、実感として理解できると思うが、ここ10年の間に、エアラインやホテル、レストランといった各種サービスの標準化が驚異的なペースで進んでいる。
かつては経済的に遅れている国のサービスはひどいというのが常識だったが、こうした格差はほとんどなくなったといってよい。国としての経済力の格差は依然として存在しているものの、多くの人が利用するサービスについては、国際標準がほぼ確立しており、どの国のサービスを利用してもそれほど大きな違いを感じなくても済むようになっている。
バルセロナのホテルから台北の民宿、バンコクのコンドミニアムに至るまで、価格によってレベルが異なるだけで、基本的なサービス体系や予約のルール、Webサイトでの情報提供の方法などは、皆、同じようになっている。
こうした標準化の背景となっているのは社会のIT化であり、その基礎となっているのがPCであることは言うまでもない。国籍や人種、宗教は違っていても、一定以上の収入やスキルを持つ人のライフスタイルや価値観は今後、さらに似通ってくるだろう。
グローバル化というものの本質は、外国語を話すことではなく、標準化された仕事の方法や価値観、立ち居振る舞いを身に付けること意味している。
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