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日本女性の胸「苦しめない」高級下着を 女性起業家、裸一貫からの挑戦幾度の転職・挫折にも負けず(2/3 ページ)

高級ランジェリーにある女性起業家が参入。大手が寡占する業界を「日本女性向け」のコンセプトで切り開き、高級百貨店での販売にこぎつけた。

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「ブラジャーに違和感ない女性、いないのでは」

 「西洋の女性はもともと胸が大きい。それを美しく飾るというのが向こうの下着の思想。でも日本女性は胸が無かったので、無いものを大きく見せる工夫が発達した」(栗原さん)。ワイヤーを中に入れて谷間を寄せるブラジャーなどが代表的だ。しかし「日本女性の胸は苦しがっている。ブラジャーに違和感を持っていない女性はいないのでは」。

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ナオランジェリーのラインアップ

 では海外ブランドをそのまま売りたいかというと、こちらにも欠点があった。サイズが大量にある日本品に比べて大ざっぱな上、そもそも限られたサイズしか輸入されない傾向があった。

 加えて繊細なデザインが売りである故に、強度に乏しい傾向もあるという。「上下セットで3〜4万円もするのに、何回か使うとすぐ伸びてしまう商品も少なくない」(栗原さん)。日本ブランドも輸入物も、どちらも課題があると痛感した。

 「ならば自分で下着ブランドを立ち上げよう」と思い立った栗原さん。23歳の時に早々と下着販売のアルバイトを辞め、まずはマーケティングを学ぼうといくつかの会社を転々とした。

 とある出版社では会社の業績不振を理由にクビになり、家賃も払えないのではと焦ったことも。最後に2年間勤めたコンサルティング会社では、コンビニなどいろんなプロジェクトの事前リサーチから立ち上げまで一通り手掛けた。

 事業の立ち上げ方法を習得しきったと確信した栗原さんはこのコンサル会社も辞職。次はデザインを学ぶためイタリア・ミラノのファッションスクールに留学した。その時に知り合った人づてで、英国の有名ランジェリーブランドでのインターンシップの話が舞い込んだ。

「なぜ遠回りするのか」

 間髪入れずロンドンに飛んだ栗原さんだったが、紹介先の人物からは「アクシデントでこの会社の担当者に会えそうもない」と冷たい返答が。しかし、彼の次の言葉が栗原さんに火を付けた。「ブランド立ち上げという明確な目標があるのになぜインターンで遠回りするのか。ダイレクトにブランドを立ち上げればいいのでは」。

 「今思えば言い訳だったのかもしれないが、私の28年間生きてきた中で一番腑に落ちた言葉だった」(栗原さん)。目標を遠くに設定するのはもうや止めようと、ひと夏いたイタリアのスクールもすぐ辞めて帰国した。

 これまでの経験から目指すべき下着のイメージは確立していた。それは「日本の働く女性のための下着」。栗原さんによると日本と欧州のOLではライフスタイルがかなり違う。通勤時間が長い日本と違って欧州では会社と家が近く、終業後は自宅でシャワーを浴びておしゃれなランジェリーや洋服を着てディナーに出掛けられる。

 「日本人女性にそれは無理。ならば働いた後そのままデートに行ける、1日中ハッピーになれるランジェリーを目指したい」(栗原さん)。高いデザイン性と、長時間着てもつらくならない着心地を両立させようと考えた。

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