20年新卒採用、大企業は好調 中小企業は苦戦の見込み 売り手市場で広がる格差:高卒人材・外国人学生に活路(1/2 ページ)
リクルートワークス研究所が、20年新卒採用の見通しに関する調査結果を発表。採用数を「増やす」と答えた企業は13.8%だった。ただ、計画通りに採用を実行できるかについては、企業の規模によって格差が生まれる可能性もあるという。
2019年卒の学生を対象とする新卒採用が一段落し、企業では20年卒向けのインターンシップが行われている。20年卒向けの採用活動は例年通り、19年3月に公募、同年6月に選考が解禁される。現在のビジネス界では人手不足などによって売り手市場が続いているが、20年卒の場合も、就活生にとって有利な状況が続くのか。また、大企業と中小企業で採用戦略はどう変わってくるのか。
リクルートの社内研究機関、リクルートワークス研究所が12月19日に会見を開き、採用見通しに関する調査結果を発表した。
20年卒の「採用増やす」は13.8%
調査によると、20年新卒者の採用数を「増やす」と答えた企業は13.8%。「変わらない」は49.6%、「減らす」は19.8%だった。採用数を増やす企業は、従業員数が5000人以上の企業(19.6%)や2000〜4999人の企業(18.6%)などに多かった。一方、採用数を減らす企業は、従業員数が300〜999人の企業(7.4%)や100〜299人(7.0%)の企業に多かった。
同研究所の茂木洋之研究員は「全ての従業員規模において『増やす』が『減らす』を上回った。供給は一定だが、需要は拡大している状況で、20年新卒者の採用も伸びそうだ」と指摘。就活生有利の“売り手市場”が今後も続くと予測した。
高卒人材も需要増
また、20年に高卒人材の採用を「増やす」企業は10.7%。「変わらない」は34.1%、「減らす」は2.9%だった。高卒人材の採用数を増やす企業は、従業員数が5000人以上の企業(13.2%)のほか、従業員数が300〜999人の企業(13.0%)にも多かった。
同研究所の古屋星斗研究員は「大卒を採用できない中小企業が高卒に手を伸ばすケースがみられる。採用の目標人数を増やしても(競争激化によって)取れる人数に限界があるため、人材の選択肢を広げようとしているのだろう」とみる。
業種別では、採用数を増やす予定の企業は小売業(21.1%)、飲食店・宿泊業(17.7%)、情報通信業(16.4%)などに集中していた。減らす予定の企業は金融・保険業(8.7%)、建設業(8.0%)などに多かった。
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