コラム
日本の介護問題、処遇改善よりも効果的な人材不足への対応策を:カギは高技能労働者(2/6 ページ)
高齢化などに伴い、日本では介護人材の確保が困難となっている。その理由の1つには、介護職員の賃金が他産業と比較して低いことが指摘されている。そのため政府はさまざまな処遇改善策を実施してきたが……。
介護労働者とは誰か
深刻な介護人材不足に対処する上で、介護労働者の属性を確認しておくことが重要である。
図表2の上の円グラフは男女別、雇用形態別に見た介護労働者の割合だが、介護労働者全体の4分の3は女性であり、さらにその半分以上が非正規の職員・従業員であることが分かる。
図表2の下の左右の棒グラフでは、男女別・正規非正規別の介護労働者を年齢階級別に示している。
男性の場合、正規の労働者は30〜34歳など若い層に人材が集中し、60歳以上は少ない。また非正規は、60〜64歳と65〜69歳を除いてどの年齢階級も1万人に満たないなど、介護分野で働く非正規の男性は限られている。
一方、女性の場合、正規では20〜59歳の各年齢階級でそれぞれ5万人以上であり、若い層も含む幅広い年齢層で人材が多い様子が分かる。また非正規は40歳以上に多く、うち女性非正規の35%にあたる約26万人が60歳以上である。
このように介護労働者の多くは女性であり、正規を中心とした若い層から60歳以上の非正規まで、幅広い年齢層が担い手となっている。こうした実態を踏まえれば、介護人材の確保や定着を考える場合、正規にしろ非正規にしろ女性労働者を中心に施策を講じなければ、十分な効果が得られないことは明らかだろう。
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