見違えるほどのクラウン、吠える豊田章男自工会会長:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/3 ページ)
2018年の「週刊モータージャーナル」の記事本数は62本。アクセスランキングトップ10になったのは何か? さらにトップ3を抜粋して解説を加える。
名車の引退を惜しむ スズキ・ジムニー
18年2月。名車と呼ばれた3代目スズキ・ジムニー(JB23型)が引退した。通常であればモデルチェンジで新型にバトンタッチされるものだが、JB23型には「横滑り防止装置」が装備されておらず、非装備の新車販売が禁止されたことから、7月に4代目(JB64型)が発売されるまでの間、ジムニーはショールームから消えた。
筆者の経験では、名車と呼ばれるモデルはほとんど全ての場合、後継モデルはその期待に応えることができない。だからある種の感傷を持って去りゆく3代目ジムニーを借り出して再確認したくなった。それを綴った記事がこの記事だ。
ジムニーというクルマは本当に特殊なクルマで、日本のクルマがあまり得意としてこなかった操作系のリニアでダイレクトなフィールを歴代途切れることなく備えてきた。必要とするトルクをいつでも引き出せる。それは「必要以上」ではなく、ぴったり必要なだけのトルクだ。そういうドライバーが望む操作量に常に最適な反応をハンドルもブレーキもアクセルも演じてみせる。
そうでないクルマはどうなるかと言えば、例えばブレーキを踏んで減速していき、停止直前にブレーキ踏力を注意深く調整してやらないとカックンと止まる。あるいは、加速の時もそうだ。うっかり信号が変わったのに気付かず、慌て気味に発進するとき、「首が後ろにカクンとなるような加速」にならないように最大限の注意をしつつ、それでも急ぎ目の加速がしたい。それに応じた加速の仕方ができるクルマは少ない。例えばトランスミッションにCVTを採用するクルマの多くはタイヤが半周したかどうかのところで一気にギア比を下げて急加速モードに入る。そうしたくないと心掛けているにもかかわらず、クルマは勝手にそう走る。
ジムニーは頼んだことを頼んだ通りにやってくれる。もちろん間違ったことを頼めば間違った動きをするが、それはドライバーの責任だ。そんな気心が通じ合うクルマはもう出てこないかもしれないと思ったが、後に新型に試乗してみたところ(関連記事)、とても嬉しいことに杞憂だった。新型ジムニーは先代の不得意ジャンルを補完しつつ、美点を失っていなかったのである。
日本にジムニーがあることはとても幸せなことだと思う。
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