ネオ・デジタルネイティブ世代との付き合い方:内田恭子の「日常で触れたプロフェッショナル」(3/4 ページ)
平成生まれのわが子たちは「デジタルネイティブ世代」だと思っていたら、実はその先を行く「ネオ・デジタルネイティブ世代」だそうです。そんな彼らを日々見ながら、いろいろと感じることがありました。
いきものは残念ではない!
そしてもう一人、ディープに育っている5歳のチビちゃん。この人はとにかく生き物Love。人間はもちろんのこと、動物、昆虫、魚、鳥、恐竜と家中の誰よりも詳しい。去年、西表島に行って壮大な自然界に触れてからますます生き物に対して愛情を注ぐようになった。
最近チビがおかんむりなのが「ざんねんないきもの事典」。「えー! あんなに子どもたちに大人気なシリーズなのに」と思う方もいるだろう。けれども、それに対する怒りはすごい。先日もお風呂の中で爆発していた。「生き物はみんな命があって、すごい特徴がたくさんあるのに、ひとつの特徴だけとって残念、なんて言うのはだめなんだよ。動物たちがかわいそうだよ!」と湯船の中で熱弁が止まらない。少し前にチビちゃんのためにこの事典を買おうか迷った私だけれども、買わなくてよかったと心から思った瞬間である。
チビちゃんの興奮はさらにヒートアップ。話は西表島のイリオモテヤマネコの絶滅にまで及び、ヤマネコたちの交通事故を減らすためには道路に柵をつけたほうがいいと主張。以前このエッセイに登場したイリオモテヤマネコの保護活動を行っている森本さんに、さっそく手紙を送ってと懇願され、日々疲れる。クリスマスプレゼントにはヤマネコたちを見守る研究用のドローンを熱望し、それを思い留まらせるのにまた疲れる。
暇な時間があるとチビちゃんは季節を問わず、虫捕り網とカゴを持って虫捕りに出掛ける。虫たちがいなくなる前にもパパと出て行き、虫かごにトンボ、ガの幼虫、トカゲ、ダンゴムシを入れて帰ってきた。ガの幼虫とか色が鮮やかすぎて、大きくて本当に気持ちが悪くてやめてほしいかぎりである。けれどそんなことを口にしようものなら、「命があるものなんだから!」とまたチビちゃんに怒られてしまうので、ひきつった笑顔で豊採(?)を祝う。
うちのルールは虫を捕ってきたら、研究して、観察が終わったら自然に返してあげようというもの。できるだけお家から遠くに放してあげようね、と外に連れ出す。気持ち悪いなりにも、何か捕れた日はまだいい。何も捕れなかった日は、2時間近く虫捕りに付き合わされたことがある。
「温かいもの飲みに行かない? ココアとかあるよー」「お菓子買っておやつにしない?」と、いつもは食い付いてくる誘いも全く効果がない。どんどん無口になり、ひたすら虫を探す。と、その時。「いた!」とニホンカナヘビをゲット! 普段は苦手な私もこの時ほどニホンカナヘビに感謝したことはない。そして実際によく見ると可愛らしい顔をしている。生き物さん、出てきてくれて本当にありがとう!
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