ファーウェイの“強気”はいつまで続くか 米国が繰り出す「次の一手」:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
中国・ファーウェイCFOの逮捕、起訴が注目される中、同社製品を巡る米中の攻防はさらに激しくなっている。排除の動きが広がる一方、ファーウェイ側は強気の姿勢を崩さない。熾烈なせめぎ合いは今後、どうなっていくのか。
中国政府に協力しなければならない“法律”の存在
そんなファーウェイだが、米国による中国排除は今後、通信インフラだけにとどまらないだろう。米通信大手のAT&Tは、ファーウェイと組んで米国市場でスマホを販売する予定で協議していたが、1月にそれが決裂した。スマホで本格的に米国市場に参入しようとしたファーウェイを排除する形になったのである。
ただその前から、AT&Tと米通信大手のVerizon(ベライゾン)も、ファーウェイのスマホを販売しなくなっており、米家電量販大手Best Buy(ベストバイ)もファーウェイの製品を販売しなくなっていた。これらの裏には政治的なプレッシャーがあったとされる。
また既に述べた大統領令が発行されれば、こうした動きがさらに拡大していく可能性がある。
米国では以前から、中国企業に並んで、ロシアのサイバーセキュリティ企業Kaspersky Lab(カスペルスキー)もスパイ工作に関与している可能性があると指摘されていた。実際にロシアのスパイに米情報機関の機密情報が盗まれたという事案も報告されている。このケースも「近年で最も重大なセキュリティ事案の一つ」とも言われ、17年にトランプ大統領は米政府内で同社製品の使用を禁じた。これにより、米大手小売店などがカスペルスキー製品の取り扱いを禁止したことがある。今後、中国通信機器などの製品に対しても、同様の事態が拡大する可能性もある。
中国には17年に施行された「国家情報法」という法律があり、民間企業も個人も政府の命じる情報収集活動に協力しなければならない。ファーウェイ側はあくまで、多くが懸念するこの「中国当局からの情報提供要請」には応じないとしているが、強気のファーウェイもさすがに中国の法律には逆らえないだろう。それでもファーウェイだけ法律に従わなくていいということなら、それは逆に同社が中国政府から特別扱いされていることを意味するのではないだろうか。欧米諸国の懸念の裏には、この法律の存在もある。
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