嵐の活動休止で考える「中年の発達課題」とSMAPとの違い:世の中の写し鏡か?(3/4 ページ)
2020年をもって活動を休止する嵐。彼らはちょうど初期成年期から成年期に差し掛かる年代であり、20年にはリーダーの大野さんも40歳になる。彼らは自分たちの発達課題を自覚したのかもしれない。ライフサイクル理論を用いて嵐の解散について考えてみたい。
SMAP、タッキーと嵐との違い
近年のジャニーズアイドルの中でも、タッキーこと滝沢秀明さん(36歳)は、すでに成年期の課題に向き合っているように見える。彼はジャニーズ屈指の人気アイドルであったが、18年をもって芸能界を引退。今年1月に新会社「ジャニーズアイランド」(ジャニーズ事務所の子会社)を設立し、社長に就任した。彼は30代後半にして、演出家、経営者として、次世代アイドルの育成に専念する道を選んだ。
嵐のメンバーは現在35〜38歳。タッキーと同世代だ。このままトップアイドルとして活動し続けていけば、成年期の発達課題をスルーしたまま、中年になってしまう。それは、「永遠の青年期」に留め置かれることを意味する。しかし、それこそが「アイドルの条件」なのかもしれない。つまり、アイドルの条件とは実年齢が若いことではなく、「いつまでも青年期にいる」ということなのだ。
イメージしてみると分かりやすい。例えば、松本さんが結婚して子どもを作り、名門小学校のお受験に付き合い、入学式に出ている姿を。二宮さんが役者として劇団を立ち上げて後進の指導にあたり、頼れる座長として「オヤジ」などと呼ばれている姿を。
このように、成年期の課題に向き合い、課題を克服している人はアイドルとして不適格だ。元TOKIOの山口達也氏は46歳の時に不祥事で引退したが、その内容は明らかに成年期の課題を克服するのに失敗した(本人の意識は20歳くらいのまま)と思われるものだった。
嵐より10歳上の世代で、青年期を40代まで続けた末に解散してしまったのがSMAPである。木村拓哉さんと他の4人との溝がクローズアップされたが、それもライフサイクル理論に照らせば当然だ。木村さんだけが20代で結婚して家庭を築いた。さらに役者としても成功し、若手俳優から相談を受けるような存在だった。永遠の青年期にいた4人と、1人成年期にいた木村さん。嵐とSMAPの違いは、ここにある。
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