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働き方改革で残業が減らない理由 ちっとも進まない「経営者改革」河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)

働き方改革について7割の人が「実感なし」と回答したアンケート結果が話題になった。「長時間労働の削減」が改革の代名詞のようになってしまっているが、本来はそうではない。生き生きと働ける社会にするために必要なのは「経営者改革」だ。

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「長時間労働削減」は働き方改革ではない

 もちろん生き生きと働くには、心身ともに健康であることが必要不可欠です。朝から晩まで仕事、仕事で、睡眠時間もままならない状態では、体も心も壊れます。どんなにやる気にあふれる人でも、どんなに仕事好きの人でも、人は人。「生き物」である以上、休息は必要不可欠です。

 「長時間労働の削減」は働き方改革ではなく、法律の問題。1日8時間、週40時間を定めた「労働基準法」を機能させるべく、36協定を見直し、インターバル規制を入れ、罰則を徹底し、そもそもの労働基準法の目的に立ち返ればオッケー。

 敗戦後の日本で、「労働者は奴隷ではない」という世界基準のメッセージを真摯(しんし)に受け止め、それまでの1日10時間労働を8時間労働に短縮し、「世界と同じように働く人たちを保護しなきゃ」と先人たちが知恵を絞り考え、成立させた72年前(1947年)に立ち戻ればいいだけのお話です。

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「長時間労働の削減」が働き方改革の代名詞になってしまった

 労働基準法の第1章第1条には、次のように書かれています。「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」

 それにもかかわらず、日本の企業経営者は違反、違反、違反を繰り返してきました。その間、何人もの人たちが大切な命を奪われました。

 有給休暇の世界基準は「まとめて取る」ことで、国際労働機関(ILO)は、原則として有給休暇の分割取得を認めていない。この話は以前書きましたが、敗戦の焼け野原で戦後復興中の日本がそのまま受け入れるのは非現実的だったため、「やむにやまれぬ事情で、1日単位の分割取得というおかしな制度をあえて導入した」敗戦後の制度を、今なお、「当たり前のように続けている」のです。(関連記事:「1カ月の夏休み」は夢? 日本人の“有給の取り方”がズレている、歴史的背景

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