優れた道具は使い手のレベルアップにもつながる:内田恭子の「日常で触れたプロフェッショナル」(2/4 ページ)
素敵な食器やお鍋、キッチンツールを見つけると、ついつい買ってしまう内田恭子さん。今も狙っているお鍋が2つあるそうだ。けれども、素敵な器などを使うことで良い効果が生まれるのだという。
素敵な器が料理の腕を上げる
もう1つは蓋つきの鉄鍋。重厚感たっぷりの鉄鍋が多い中、これはスマートで薄くて実用的。うちではご飯を土鍋で炊くようになってから、炊飯器はとうの昔に奥のほうにしまわれてしまった。今ではおいしく炊ける炊飯器もたくさん出ているけれど、お鍋で作る炊き立ての美味しさはやっぱり違う。しかも冷めてもおいしい。時間も炊飯器のお急ぎコースよりも早く炊くことができるからもうやめられない。
この鉄鍋で炊いたらまた一味違うおいしさになるに違いない。日本人はなぜもこう、もっとおいしいご飯を求めてしまうのだろう。ウキウキで鉄鍋に見とれていたら、横から彼の一言。
「新しいお鍋買うなら、今あるお鍋ひとつ処分して」
「……」
そういえば、靴でも同じようなこと言われたなあ。確かにそう、お鍋は場所をとる。靴よりもっととる。でも今あるお鍋は全部お気に入りのものばかり。鉄鍋ももう少し先かな。
お鍋だけでもこれだけ気になるものがあるわけだから、これが食器や器にまでいったら、本当にキリがない。食器はアラビアのアンティークのものを集めているけれど、日本ではなかなかそろわない。ネットやお店で見つけたらすぐに買わないとなくなってしまうし、同じシリーズのものを集めるのはなかなか難しい。いっそフィンランドまでアンティーク食器を巡る旅に行ってしまいたい。
同じ食器でも、和物の器もまた奥深い。好きな作家さんのものなどは展示会に行かなければなかなかお目にかかれないし、それもやはりすぐに売り切れてしまう。けれども有名な作家さんのものでなくても、うっとりしてしまうくらい素敵なものはたくさんある。それにどんなお料理をのせようか、どんなシーンで登場させようか、なんて考えるのが楽しくて仕方がない。
素敵な器にお料理を盛りつけたら確実に2割増しでお料理上手になれる。絶対にそう思う。けれど器ばかりに頼っているわけにはいかない。器に失礼にならないよう、劣らないようなお料理を盛りつけたくなってくるのである。
結婚するまでお料理なんてまったくしなかった私だけれど、人間変わるものだ。周りに料理研究家やお料理上手な友人たちが多くて、彼女たちからの影響の後押しもあり、私のお料理は我流だけれどそれなりに腕を上げている。
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