未払い残業代を取り戻せ! あなたにもできる「ブラック企業との戦い方」:働き方改革関連法施行後の「自己防衛術」(5/6 ページ)
働き方改革関連法の施行は、これまでただ働きしてきたサービス残業による未払い残業代を取り戻すチャンスだ。
休憩時間を取ったことにするのは「脱法行為」
3の「昼の休憩時間に仕事をさせて、定時に帰るように仕向けている」というケースはよくある。だが労基法では「労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならない」とされている。休憩時間を取ったことにするのは完全な脱法状態だ。最近は早く帰らせるために12時から13時の休憩を減らすように仕向けている会社もあるから注意してほしい。
4の「上司に指示された仕事が終わらないのに残業させず、残りの仕事は自宅でするように仕向ける」というケースは、やるべき仕事が残っているのに定時で退社させて“持ち帰り残業”をさせるという巧妙な手口だ。会社としては「本人が勝手にやっているだけ」という理由付けにしたいのが見え見えだ。だが通常の労働時間では処理できない業務を指示したり、持ち帰り残業を黙認していたりした場合は、事実上の指揮命令があったとして労働時間と判断される可能性がある。思い切って「持ち帰りで仕事をした分も申告してよろしいですか?」と聞く勇気も必要だ。明らかに労働時間(残業)に入るので、在宅での労働時間もしっかりと記録しておくことだ。
5の「夕方の残業を禁止し、朝早く来ての“残業”を働きかけて残業代を支払わない」というケースはよくあるかもしれない。しかし、残業代は終業後の残業だけではなく、始業開始前にやった仕事も残業に入る。しかし、上司や経営者は早く出社して仕事をしていることが残業になることを知らない人も多い。実際に、社員が勝手に朝早く来て仕事をしているから残業代を払う必要はないと言い張る会社もある。だが、早朝出勤による業務処理を認めている(黙認でも同じ)のであれば間違いなく労働時間に入る。正々堂々と申告すべきだろう。
関連記事
- 詐術、脅迫、暴力、洗脳 「辞めたくても辞めさせないブラック企業」急増の真相
「会社を辞めたいのに辞めさせてくれない」という人の相談が増えている。厚生労働省の調査では、会社に辞めたいと伝えても辞めさせてくれない「自己都合退職」の相談が2番目に多く、3万8945件(相談件数の12.8%)もあった。「退職トラブル」の実態とブラック企業への対策を探る。 - ブラック企業だけじゃない 「ワンオペ管理職激増」の深層
長時間労働、ワンオペ地獄、給料が上がらない、人材に投資しない……。「働き方の不条理」はなぜ生まれるのだろうか? - 「時間外労働の上限規制」で何が変わるのか? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説
働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は「時間外労働の上限規制」を取り上げます。 - ローソンが「24時間営業の見直し」を検討する理由
ローソンの竹増社長が24時間営業について変更検討を示唆。「社会のニーズがないのであれば変化に対応しなければならない」と話した。 - ローソン、24時間営業の変更検討も視野に 竹増社長が示唆
ローソンの竹増社長が24時間営業について変更検討を示唆。「社会のニーズがないのであれば変化に対応しなければならない」と話した。 - 私はこうしてプロ野球をクビになった
元プロ野球選手で、『俺たちの「戦力外通告」』著者が、自身の体験をもとに“クビ”になった経緯を語る。 - 違反すると懲役刑や罰金刑も! 「残業時間の上限規制」の影響を弁護士に聞いた
2019年4月から働き方改革関連法が施行される。「残業時間の上限規制」など関連法の内容と、企業団体の人事・総務に求められる具体的な対応を、TMI総合法律事務所パートナーの近藤圭介弁護士に聞いた。 - 元国税局職員が明かす「確定申告」の注意点
元東京国税局職員で、現在はフリーライターの筆者が「確定申告」の注意点を解説する。 - 公務員65歳定年制の導入は「若者の賃金搾取」と「解雇規制緩和」の序章だ
政府は公務員の定年引き上げを検討している。この動きが民間にまで波及すれば法定定年年齢の65歳への引き上げにつながり、70歳までの雇用確保を義務付けるという「政府のシナリオ」が現実味を帯びつつあるのだ。その先にあるのは……。 - “雇い止め訴訟”相次ぐ「無期転換の2018年問題」 企業はどう対応するか
有期雇用で5年を超えて契約更新する人たちが、希望すれば無期雇用に転換できる「無期転換申込権」が今年4月から発生した。対象者は450万人と推計されているが、雇用契約を更新されない「雇い止め」も起こっていて、契約社員が勤務先を訴える裁判が相次いでいる。企業はいかに対応すべきなのか。 - 「派遣の2018年問題」まで残り3週間 企業は「期間制限」にどう対応するか?
2015年9月30日施行の改正労働者派遣法により、施行日以後に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には「事業所単位」と「個人単位」が設けられ、両方とも「3年」の期間制限がかかることになった。企業はいかに対応すべきなのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.