「サイバー脅威を分かってない」弱点だらけの日本企業に寄せられる、大きな期待:世界を読み解くニュース・サロン(4/6 ページ)
「脅威インテリジェンス」というサイバーセキュリティ対策が注目されている。サイバー大国・イスラエルの脅威インテリジェンス企業によると、「日本企業は本当の脅威を分かっていない」。同社が見る、日本企業の弱点と期待とは?
私たちの日常に迫る、サイバー攻撃のリスク
同社の日本ビジネス責任者であるドロン・レビットCEO(最高経営責任者)は、「私たちは、これからの未来に向けて、あらためて情報(電子データなど)の意味を考える必要がある」と言う。
レビットCEOは、5Gの到来で企業でもさまざまなものがつながるようになると話す。「企業でも、出入りする従業員などの情報がますますデジタル化、ネットワーク化され、それが社のリソースとつながっていく。従業員は遠隔でコミュニケーションをし、SNSで個人情報を提供することを厭わない」と、レビットCEOは言い、さらに、もはやサイバー空間では、情報を超えた脅威もあると指摘する。「家も電力供給から何もかもがデジタルでつながっていく。国境や空港を守っても、遠隔操作で国を攻撃できてしまうし、東京で街灯が全て消えたら、どんな悲惨な状況になるのか。国を破壊することもできてしまうでしょう。それこそが、これからの『戦争』なのです」
つまり、データがつながっていくことで、私たちの個人情報や企業情報などが悪用されるなどして、生活もサイバー攻撃にさらされるリスクが高くなる。そこで、いま一度、この現状を見つめ直す必要があるというのである。
さらに、レビットCEOは、ハッカーという攻撃者の特性についてこう説明した。「ハッカーというのは、個人でバラバラに活動しており、地下のネットワークで協力をする。そして、あなた個人や企業の、小さな情報のピースをいろいろなところから拾い集めて、さらに最も弱い部分を分析した上でサイバー攻撃を仕掛けてくる。国に対しても同じです」
ハッカーたちの手口は、次のようなものだという。ターゲットを偽のWi-Fiに接続させて不正アクセスしたり、マルウェア(悪意ある不正プログラム)をしかけたアプリをダウンロードさせたり、SNSなどでターゲットの個人情報を広い集め、ダークウェブでターゲットの情報やパスワードなどを探したりする。そうして集めた情報を駆使して、ターゲットにバレないようなフィッシングメールを送ってリンクをクリックさせる。最近ではそうした攻撃のためのツールはダークウェブでレンタルすらできる。そして、ターゲットを罠に引きずり込むのである。
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