「もう、諦めるしかない」 中高年化する就職氷河期世代を追い込む“負の連鎖”:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/5 ページ)
40歳前後になった「就職氷河期」世代に対する支援に、国を挙げて取り組むことを安倍首相が表明した。しかし、就職時の不況や非正規雇用の拡大など、さまざまな社会的要因によって追い詰められた人たちの問題は根が深い。実効性のある支援ができるのか。
氷河期世代は“エリート”でも苦しい
氷河期世代の問題は、非正規雇用の人にばかりスポットが当たりがちですが、厳しい競争を勝ち抜き、正社員になった“氷河期世代の勝ち組”でさえ、他の世代に比べると「社会の恩恵」を受けていないことはあまり知られていません。
例えば「アベノミクス」が盛り上がった15年11月に公開された厚労省の「賃金構造基本統計調査」によれば、全体の賃金は前年比で1.3%上昇していたにもかかわらず(男性1.1%増、女性2.3%増)、氷河期世代に当たる40〜45歳男性の賃金だけ、マイナス0.6%。「大学・大学院卒」の40〜45歳男性に限ると、マイナス1.1%、「大企業」の40〜45歳男性だけに絞ると、マイナス2.3%と、普通であればエリートとされる人たちが、とりわけ冷たい風にさらされていたのです。
「今はまだ、母の面倒を見なきゃならないんで、なんとかなってますけど。自分1人になったら……ヤバいなぁって思うんです。生きてる意味あるのかなぁ?って」
フィールドインタビューに協力してくれた氷河期世代の40代の男性が、こうこぼしていたことがあります。
彼は氷河期に正社員の席をゲットしたものの、リーマンショックで会社が業務を縮小したためリストラにあい、その後は製造業関連会社の非正規社員になりました。
正社員で雇用してくれる会社を探し続けましたが、40歳を過ぎて正社員で雇ってくれる会社はありませんでした。
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