【一問一答】トヨタ社長「過去の成功に頼っていては未来がない」:CASEへの対応急ぐ(2/3 ページ)
トヨタ自動車の豊田章男社長は決算説明会で、「CASE」への対応を加速させる考えを示した。社長就任から丸10年を迎え、自動車業界のビジネスモデルの変化に直面したこと、トヨタ自身がフルモデルチェンジする必要があることを語った。
トヨタは「選ばれる立場」
――「仲間づくり」について。どのように進めていくか。
豊田氏 キーワードは「オープン」と「スピード」。まずは、自分自身に競争力がないと誰からも相手にされない。そして、1社だけでは何もできないことを認識して、自社の強みと弱みを把握しながら他の業種の企業とも協力していく。
大事なのは、トヨタが(パートナーを)選ぶわけでなく、選ばれる立場だということ。一緒に仕事をする意義を感じてもらい、一緒に未来をつくりたい、トヨタが好きだと言っていただく機会を増やしたい。
――各国政府のインフラ面でのサポートについて。どういったものが必要か。
豊田氏 FCVとEVの普及には、インフラ整備が必要。補助金も必要。そのためにも、各地域で「トヨタの意見を聞いてみたい」「(プロジェクトの)メンバーに入ってほしい」と選ばれるようになれれば。
これまでも各地域で「この町一番の会社」を目指してきた。政府からは「投資を決めてくれてありがとう」と言ってもらい、こちらからは「支えてくれてありがとう」と言える。双方が「ありがとう」と言い合えるような関係を目指していきたい。
――株主還元の方向性について。
豊田氏 トヨタ株の魅力を考えると、安定が求められる銘柄と考える方が多いと思う。その期待に応えるための成長戦略を考える上で重要な2つのキーワードは「持続的成長」と「競争力強化」。トヨタ株を中長期にわたって持ってよかったと思う人が増えるといい。設備投資1兆円、研究開発費1兆円、株主還元1兆円を続けていくことが大きな課題。
――次の時代に、“移動の幸せ”をどのように世界の人たちにもたらしてくれるのか。
豊田氏 “移動の幸せ”の陰には不幸せもある。交通事故や大気汚染だ。この不幸せをできる限り最小化するため、地道にやっていくしかない。昨今、交通事故が大きく報道されている。非常に心が痛く、悲しい思いだ。重大事故をゼロにしていくのは長い道のりだが、変わらぬ軸として進めたい。
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