2015年7月27日以前の記事
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なぜアコムは、いまだに過払い金問題で消耗しているのか?専門家のイロメガネ(3/6 ページ)

一見昔話のようにも思う過払い金問題。しかし、現在も消費者金融各社は過払い金返還に苦しんでいる。特にアコムは当初の想定どおりに引当金が減っていない。なぜ過払い金の正確な返還額が計算できないのか。そこには、過払い金の返還請求を遅らせると、そこに利息がついてくるなどの制度的な理由があった。

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これまでもずっと予測を外し続けてきたアコム

 将来についての予測とはいえ基本的には過去に受け取ったものを返すだけで、アコムくらいの大企業ならそれくらいちゃちゃっと簡単にできてしまうのではないか?

 そのように考えたくもなるのだが、実際のところアコムは予測を外している。しかもそれは今回だけのことではなく、驚くべきことにこれまでもずっと予測を外し続けてきたのである。

 アコムの過払い金返還損失の見積もりはほぼ毎年修整され、そのたびに過払い金返還費用が追加計上されている。データが参照可能な2008年3月期以降でいえば、修整の無かった決算は18年3月期だけ。12年間でたった一度きりだ。毎年のように修整するためか、最近では予測の内容を詳しく公開することはないようだ。

 過去、アコムが最も自信満々に過払い金返還の予測について語ったのは、「データ蓄積により、将来の発生予測精度が向上」とうたった11年3月期の決算報告だろう。このとき、将来の過払い金返還損失の総額を約2800億円と算定したアコムは、引当金を2833億円まで積み上げ「引当金の妥当性と十分性を確認」と言い切ったのだ。

 ところがその後19年3月までに発生した過払い金返還損失は、すでに6000億円を超えている。先ほどの説明に倣えば、事前に積み立てたお金が全く足りなかったことになる。自信満々だった予測を、ダブルスコアで外してしまったのである。


過払い金返還損失(利息返還損失)の推移(19年3月期アコム決算資料より)

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