セブンティーンアイスが大躍進 34年で激変した自販機の“設置戦略”:知られざる進化の歴史(2/6 ページ)
自動販売機で売られているセブンティーンアイス。自販機の設置台数が過去最高を更新している。成長を可能にしたのは時代の変化にあわせた“設置戦略”だ。
設置場所によってアイスの種類と価格が違う
17アイスのフレーバーは全22種類だ。自販機では17種類しか販売できないため、設置先の客層や季節によって品ぞろえを変えている。例えば、子どもが多く集まる場所ではシャーベットタイプの品ぞろえを増やしているだけでなく、ボタンが押しやすいように自販機の下部に商品を配置している。また、シニアが多く利用する温浴施設では、モナカタイプのアイスを置いている。
自販機の価格を決めるのは設置先だ。江崎グリコの推奨売価に基づくが、場所によって同じ商品が50円〜60円の売価差で売られていることもある。
担当者によると、学校や職場といったもうけを重視しない場所では低い価格になり、付近にお店がないような観光地では高い価格になる傾向があるという。
外で食べやすくなる工夫
17アイスは、自販機で売るアイスならではの工夫をしている。
外で食べると鼻がききにくくなるだけでなく、味わいも感じにくくなるため、より濃厚な味わいにしている。例えば、「クッキー&クリーム」は北海道産の生クリームを使っている。また、「ワッフルコーンショコラ」は2種類のチョコアイスに生チョコソースを添えている。発売当初は1種類のチョコアイスだけを使用していたが、味に濃厚さを出すために改良を続けてきた。
05年には「ブロー」と呼ばれるチューブ容器に入った商品を開発した。暑い季節になると、アイスがどんどん溶けてしまい、手がべとべとになってしまうという問題があった。そこで、チューブに入った同社の「パピコ」で培った技術を生かし、利便性を向上させた。
アイスのスティックにも工夫をしている。独自の受け皿を付けることで、アイスが落ちるのを防止している。また、スティックの先端には3つの穴があいているが、これはアイスとスティックの接着強度を高める役割がある。
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