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「大麻合法化しようぜ」に感じる“胡散臭さ”の正体 医療大麻の論点とは世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

有名人が大麻で逮捕されるたびに、日本でも「合法化」が議論になる。だが、医療大麻の話を持ち出す容認派には、医学的な根拠を示して真剣に議論する姿勢が感じられない。医療大麻ビジネスに乗り出しているイスラエルでは、薬剤として適切に取り扱う体制がある。

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容認派に漂う「うさんくささ」の正体

 まずはっきりしておきたい。筆者は日本に嗜好用(楽しむため)の大麻は必要ないと考えている。言うまでもなく、日本をはじめ世界のほとんどの国で違法だ。ただし最近ではカナダやウルグアイ、米国の10の州とワシントンDCで合法化されている。また大麻は違法だが、少量なら非犯罪化している国も少なくない。

 そして、医療を目的とした大麻の使用に限れば、数多くの国が合法化している。米国の33州とワシントンDC、ドイツ、イタリア、フィンランド、オランダ、ノルウェー、ポルトガルやニュージーランドなど数多い。そして筆者が訪れたイスラエルもその一つ。ただ、現地で医療大麻ビジネスを始めているBOLファーマ社(BOL Pharma)のタミル・ゲドCEOに話を聞くと、こんな話をしてくれた。

 「米国の販売店で店内の様子を見ていた時のことです」。ゲドCEOは米国で医療大麻の店を視察した時のことを話し始めた。「女性が入ってきて、20歳そこそこの男性店員に『(強い痛みが全身を襲う)線維筋痛で処方箋をもらった。どれを買えばいい?』と聞いたのです。もちろんこの店員には適切な教育はなされていなくて、店員は乾燥大麻の入ったガラス容器の蓋を開け、鼻を近づけて、『ん〜〜匂ってみて』と言った。すると、患者も『いいわねえ』と。そんなふうに販売していた。まったくありえないことですが、それが先進国であっても『現実』なのです」

 この話を聞いた時、私が大麻容認派に対して抱いていたイメージを言い当てられた気がした。というのも、日本で大麻容認を主張する人たちは、どうしても「うさんくささ」がにじみ出ている人も少なくないからだ。

 どこか、ファッションの延長であるかのようなカジュアルさがあり、医療とその「ファッション」の境界が曖昧で、医療大麻といわれても眉をひそめたくなってしまう。その最大の理由は、医療効果のある「薬」「成分」としてしっかり扱われていないからである。そんなイメージを持っている日本人は多いのではないだろうか。

 ゲドCEOも、そんなふうに大麻を扱っている人たちと一緒にするな、ということが言いたかったのである。

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